もう彼是10年になるか、ジェフリー・アーチャーの新作が出ると読んでいる。クリフトン年代記が7冊続き、やっと終わったかと思ったら、William Warwick巡査シリーズが始まったのは昨年である。今回はその続編で「平地に隠れて(Hidden In Plain Sight)」である。果てしなく続く展開に、正直暫く前から食傷気味になっている。ただ書店で見付けると、ここまで来たので意地でも読んでやろう!とまた買い求めてしまう。
今回の物語は、前回レンブラントを盗んだ男に麻薬取引の嫌疑が掛かる。事件に関与していた主人公の同窓生に協力を頼み、現場に踏み込むとぶつが発見された。隠匿を認めない男に、主人公の妹弁護士がフォートナム・メイソンのキャビアの値段から矛盾を突いて事件を解決する辺りはジェフリー・アーチャーの骨頂である。主人公は巡査部長に昇格して画商で働く女性と結婚し双子を授かり、父親の弁護士は悪役の男の妻の弁護人を務めるなど、相変わらず家族的な英国社会の一端が伝わってくる。クリフトン年代記から続く品のいい仕上がりは変わらない。
ただ物語は、捕まった男が監獄から脱獄する処で終わってしまう。オチを楽しみに読んできたのに流石これにはガッカリした。また男が元妻の持ち家を放火したり、殺された同窓生の犯人が分からないなど、何かしっくり来ない点も多かった。タイトルの由来も、麻薬工場にSASの協力を得て踏み込む際に、大勢で押しかけては犯人グループに気付かれるので、目立たない通勤バスで捜査員を運んだ事に由来していた。今まで意味深な表現が多かったので、著者らしくなかった。
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