Tuesday, 29 December 2020

全米オープンの決勝

2020年が終わろうとしている。今年はコロナで振り回された一年だった。感染を恐れて人が人を避けるようになった。群れ合って生きてきた動物だから、生命力が削がれて行くような気がする。スポーツ界も中止が相次ぎ、開催しても無観客で精彩に欠いた。オリンピックもそうだが、あるべきものがなくなると季節感や記憶の糸口を失ってしまう。そんな中だが、印象に残ったシーンがあった。  

一つは全米オープンテニスの決勝である。女子は大坂なおみが優勝したのは嬉しかったが、見応えとしては男子のドミニク・ティエムとアレキサンダー・ズべレフの試合の方が遥かに凄かった。2セットを先取されたティエムだったが、そこから反撃に転じ3セットを取り逆転勝利した試合である。最終セットは足が動かなくなり、もはやこれまでかと思った。気力で一球に賭けた気迫のプレイはとても感動的だった。

もう一つは、国内柔道の男子66㎏級のオリンピック候補決定戦である。丸山城志郎と阿部一二三の因縁対決で、延長24分の末に阿部が勝利した。解説者が一瞬も目が離せないと言っていたが、正にその通りで緊迫感ある一戦だった。試合が終わると丸山選手が涙してインタビューに応えていた。普段は無表情の人だっただけに、初めて見る情感に試合の大きさが伝わってきた。

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