Thursday, 10 December 2020

バルト諸国とマネロン

BSテレビで、BBCのマネーロンダリングの放送があった。タイトルは「汚い銀行の闇」(2012年作)と称して、エストニアに支店を持つSwedbankにスポットを当てていた。女性CEOが弁明に努めたが事件は明るみに出て辞任、その額は1300億ドルになったという。ロシアの闇資金をSwedbankのタリン支店からDanske銀行のロンドン支店に送金した事例や、究明したロシア人弁護士が獄中死するなど中々面白い番組だった。

見ていて思い出したのは首都タリンの風景である。旧市街から一歩出ると疎らに高層ビルが建っていたが、思えば入っていたのは殆ど銀行だった。先のSwedbankを始めやはりスウェーデン系のSEBやフィンランド系のNordea、地元のEestiなどである。良く考えれば人口120万人の国には余りに不似合いな数であった。タリンにはレッドゾーンと言われる歓楽街はない一方で、ベンツに黒服のロシアマフィアを時々見かけた。銀行はこうした人の温床だったのかも知れない。北欧から見ればソ連解体後のバルト三国の歴史は浅いし、法の抜け穴を探すのはそう難しい事ではなかったのだろう。

番組では雪を被った北欧の町が出てくる。一見美しいが、ひと気も疎らなので何か寒々しく感じた。昔読んだ小説「ミレニアム」もそうだった。ドラゴンタツゥーの女ことリスベットの復讐劇は冷たく残虐だった。男女の関係も動物的で寂寥感が募ったし、寒さは人を変えるようだ。

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