Friday, 6 November 2020

大統領選挙と内戦の危惧

アメリカの大統領選挙が混乱を極めている。選挙が終わったというのに、まだ大統領が決まらない異常事態だ。バイデン側は勝敗を決める270議席に近づいたので勝利を確信しているが、トランプ側は郵便投票の開票を巡り不正が働いていると裁判に持ち込む構えである。このまま行けば新大統領が決まらないどころか、二人の大統領が生まれることになるのだろうか?マスコミは連日、その対立と分断がアメリカを二分していると警戒感を露わにしている。

テレビのニュースを見ていると、支持者の中に武装した民兵みたいな一派がいた。銃社会のアメリカらしいな!と思ったがやはり物騒な風景である。両派の撃ち合いが始まれば正に内戦である。アメリカは160年前に南北戦争があった。英語では内戦(Civil War)というから猶更だ。南北戦争はアメリカの独立を締めくくる大きな出来事だった。象徴的なのは奴隷制の解放だったが、根っこは労働集約的な南部と資本集約的な北部の経済対立が原因である。今回はそこまで行かないにしても、白人社会の経済回復を焦点にしている点では似ている気もする。

4年間続いた内戦では、双方の死者は60万人に上り、市民も入れると90万人にもなった。これは第一次大戦の死者が11万人、第二次大戦が29万人だった事を思うと大変な数字である。アメリカは人種のるつぼだから対立が生まれ易い。今の時代にまさか内戦は起きないだろうが、過去に大きな犠牲を払って誕生した国だ。その教訓が生きてくれればいいが・・・。

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