Tuesday, 10 November 2020

仲よき事は美しき哉

先日、とあるご夫婦と一緒にゴルフラウンドした。歳は60台半ば位か、とても仲のいい夫婦で二人の弾む会話が尽きないのである。奥さんがパットする時もご主人が目指す方向に立ったり、いいショットが出るとさり気なく褒めるのも欠かさない。子供の頃流行った武者小路実篤の「仲よき事は美しき哉」の言葉を思い出した。ありふれているが、やはり他人の幸せな姿に接すると諭されるものだ。

何年か前だったか、同僚のAさんは羽田から関西に飛行機で行った。その時隣り合わせた夫婦がいて、北アルプスの上空に差し掛かると、ご主人が奥さんに「あれが奥穂であっちが北穂」と解説していたという。Aさんはその教養と趣味の豊かさに打たれ、「横で聞いていて羨ましかったです!」と話していた。Aさんも自他ともに認める愛妻家だけに、その時はその辺の機微に敏感なのだろうと思った。 

かと思えばその反対もある。昔よく通っていた渋谷の居酒屋は親子喧嘩が尽きなかった。年老いて痴呆が出始めた親父に向かって、息子がよく叱咤していた。一緒に厨房を切り盛りしていたから注文でも間違えたのだろう、その大きな声が聞こえてくると、自分が叱られているようで嫌だった。自ずといつの間にか、その居酒屋から足が遠のいてしまった。アメリカ大統領選挙でも、バイデンの夫婦関係はトランプ夫妻を凌いでいたように見えた。バイデン夫人は飛び掛かろうとする群衆に身を張って夫を守った一方、トランプ氏が手を握ろうとすると何度も振り切るメラニア夫人、テレビはその映像を伝えていた。その差が選挙結果にも出たような気もする。

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