ふと大きな鏡の前を通ると、鏡に映る自身の姿が映った。久々に都会で見る自分の姿は、何かみすぼらしく周囲の景色にマッチしていない感じがした。暫く外出しない内に、着ているモノが古くなったのだろう。「俺って浮いているな!」と認めざるを得ない。「だったらこの際新しい服でも買ってみるか!」、そう思って紳士服のコーナーに足を運んだ。行ってみると昔から馴染みのあるMcGREGORやHenry Cottonはなく、TheoryやBlack Lavelなど初めて聞くブランドばかりである。戸惑いながら、どれを見ても今の自分には似合わない気がした。ただ一点センスのいいジャンパーコートが目に留まった。「これだったらいいな!」と、店員に頼んで試着させてもらった。ところが値段を聞くと「59万円です!イタリア製ですので」とさり気なく言うではないか。これには流石ビックリした。因みに横にあったセーターを聞くと、「12万円です。カシミア100%です」と畳みかけられた。もうこうなると退散するしかなかった。
帰り道、新宿の紀伊国屋に寄った。「何か面白い本がないかな?」、そう思って見渡したが、これも空振りだった。コロナで思考が停滞しているせいか、将又自身の好奇心が希薄になったせいか分からないが、読んで見たい本がないのは寂しいものである。何か肩透かしを喰らった気分で地下通路を歩いていると、人だかりが出来ていた。見ると壁に貼った漫画を若い人が見ている。近くの若い二人連れに「これって有名なのですか?」と聞いてみると、「ハイ!今日このハイキューの最終巻が出たんです!」と教えてくれた。今話題になっている鬼滅の刃もそうだが、若い人の世界は知らない事ばかりだ。都会はもう若い人と一部の金持ちの場所になっている。
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