Sunday, 18 October 2020

格差が残る南イタリア

中公新書の「イタリア人と日本人はどっちがバカ?」は面白い本だ。著者はイタリア人の建築家で日本に長く住んでいる人で、イタリアも日本もアメリカ文化に毒されていると嘆いていた。イタリア人は働かないというイメージがあるが、本に出てくる30歳を過ぎて定職のない息子の話は必ずしも本人の問題でない事が分かる。心配する母親が仕事を探す姿も気の毒だ。特にイタリアは南北格差が大きいという。貧しい南は被支配の歴史から犠牲者意識が残っているらしい。イタリアサッカーは守りが強いのが特徴だが、この起源も土地柄と関係ありそうだ。ナポリ周辺やシシリー島など旅行するとその素朴さに打たれるが、現実の生活は中々厳しいようだ。

イタリアの町を旅すると、昼から路上でおしゃべりする男の年配者が目立つ。皆いい服と皮靴で決めている。元々多かった公務員が年金の受給年齢が下がったので退職者がふえたのか、それとも失業者なのか?聞いてみないと分からないがこの光景は異常だ。イタリアはアングラマネーの国で、非効率だが闇で経済が廻っていた。ユーロを導入してから少し変わったが、あのままリラを続けていれば、リラ安の恩恵で輸出は潤い、外国の旅行者は安価な製品を挙って買い自助反転したはずだ。  

イタリアというと、国中が歴史の博物館みたいでイタリア料理やワインは美味しい夢みたいな国である。ただコロナでそんなイメージが損なわれつつあるのは残念だ。タイトルの「バカ」は外人が良く使う言葉だが、日本人にとってはストレート過ぎる。せめて「どっちもどっち」位がよかったかも知れない。

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