先日、長野の田舎にY君がやってきた。Y君は学生時代の旧交で、竹を割ったような九州男児である。酒は強く明るく豪語するので維新の末裔のようだ。3年前に、やはり九州出身のH君が亡くなった時、葬儀場で久々に会った。何日かして「H君の自宅に焼香に行くので、付き合ってくれないか?」と云われ、夏の暑い日に南武線のお宅を訪れた。初めて会う奥さんと三人で故人のよもやま話をして帰ったが、40年の歳月を早送りで綴る不思議な感覚に浸った。以来こうして時々酒を酌み交わしては旧交を温めている。
長野とは言っても、今では新幹線で1時間ちょっとで着く。駅前の蕎麦屋で昼を取り、近くの温泉で汗を流し、夜の肴をスーパーに買い出しに行った。準備が出来ると、夕方から近くに住んでいるMさんもやって来た。Mさんは、自宅で育てている山椒で握り飯を作ってきた。それに揚げナス、新鮮なトマトとレタス、自分用のノンアルコールビールも一緒だった。
三人でたわいもない昔話に花が咲いた。終わってみれば何を話したのか、もう忘れてしまった。ただ一つ、皆で昔に合格電報屋をやった時、私は一人で合否確認した事にずっと不安でいた。ひょっとして人の一生を左右する見落をしたのではないか?そんな迷いが歳と共に募っていった。その心情を吐露すると、Mさんが「大丈夫だよ、俺も後から見に行ったから!」と言ってくれた。初めて聞く救いにホッとした。こうして気軽な仲間と酒を酌み交わすのが何より楽しい。
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