Thursday, 10 September 2020

歴史は復讐するか?

今から10年程前に出た「中国は歴史に復讐される」を読み返した。外交官の故岡崎冬彦さんと開発経済学の渡辺利夫さんの対談形式で、中々示唆に富んでいる。タイトルの意味するところは、義和団事件で英仏ロシア、そして日本などの8か国の排斥を受け清朝が終りを告げた。今に至ると、台湾や香港など民主化を声を無視して国際社会に立ち向かうと、同じ目に遭うである。確かに一理あると思った。

中国は一見とても巨大な国だ。しかし良く見るとウイグル、チベット、内モンゴルなど自治区と呼ばれる5つの面積を差し引くと、国土が6割程度になってしまう事に気が付く。況や香港や台湾などが離れれば、経済的にもグッと小ぶりな国になる。民族の数は56もある。その9割が漢民族とはいえ、地方自治の国なので漢族の一体感はないようだ。先の本でも多民族の維持に多大な費用が掛かる事を指摘していたが、もっと身軽なる選択肢はないのだろうか?最近ではウイグル自治区で不妊の強制治療が進んでいるとか、若者の強制移住などジェノサイトまがいの虐待が伝わっている。いくら山奥とは言え、隠すのも限界があるから猶更である。

かつてのスペイン、オランダ、大英帝国、最近ではソ連も植民地が独立し身軽になった。所詮台湾などは、国民党が逃げ込んで大きくなったような場所だ。中華人民共和国の前身の中華民国は国民党が作ったものだから、敬意を表してもいい気がするが。尤も今の中国の勢いは凄い。先の本でも2020年の一人当たりGDPは3000ドルになると言っていたが、実際は1万ドルを超えた。歴史は繰り返すのか、将又新たな歴史を作るのか、素人にはよく分からない。

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