先日、東京からお客さんがやってきた。食事を終えて一段落した頃、「ちょっといいものをお見せしましょう!」と言って電気を消した。見上げると木立の間から満天の空が広がり、まるで宇宙と一体になったような空間が生まれた。星の名前は分からないが、大小数え切れない星座群に、一同暫しうっとりしてしまった。都会では中々味わえない自然は、やはり田舎ならではである。
あれは20歳の時だったか、アメリカをヒッチハイクで一周した事があった。まず最初に行ったのはヨセミテ国立公園だった。ロスアンジェルスから車を乗り継ぎ山に入った。当時はベトナム戦争の頃で、若者はヒッピーと呼ばれるスタイルが流行った。手を上げて車が止まるとそのヒッピー達が群がりいつの間にか仲良くなった。夕方になったので、彼らと川辺で泊まることにした。風呂代わりに真っ裸で川に飛び込み、アメリカ人の知人に貰ったシェラフに潜り込んだ。夏だというのに、歯がガチガチする程寒く中々寝付けなかった。ただ夜空は眩いばかりの星のパノラマだった。見ていると流れ星がスースーと数分おきに通って行った。あっ又通った!と見入った。
あんな光景は先にも後にも一度だけだけが、こうして星を見ていて思い出した。あれから何十年も経ったが、まるで昨日の事のようだ。
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