メラニア夫人の像が故郷のスロベニアに建っていたが、焼失したという。放火だったようだが、心ない事をする人は世界何処にでもいるもんだ。。そのスロベニアは数年前に旅したが、人口2百万人の小さな国だった。クロアチアとオーストリア、イタリアに挟まれた山岳国家で、大きな鍾乳洞や湖以外はこれと言って見る場所もなく、特徴のない国に写った。ただスロベニアはユーゴスラビアが解体し、最も早く独立に漕ぎつけた。行ってみてよく分かったが、地理的に西側と接していた為、いち早く米軍から支援物資が届いた事が大きかった。戦争博物館にはそれを語る戦車などが残されていた。
スロベニアに行ったのは、コバリド(Kobarid)を見たかった為である。あのヘミングウェーの小説「武器よさらば」の舞台である。第一次大戦でイタリアとオーストリアが衝突した山岳地帯に、双方100万人が参戦した激戦地である。細い山道には今でも多くの陣地跡が残されていて、当時の様子を伺えた。結果はドイツの支援を得たオーストリアが勝利したが、小説の主人公も逃亡するように、イタリア側の士気に欠けた事はいがめない。最近改めて「武器よさらば」を読み直してみたが、映画ではフィアンセが先に逃げて彼氏を待つが、小説では二人が一緒に逃亡していた。
因みにここからイタリアに下ると、トリエステの港町に出る。ジュール・ベルンの「アドリア海の復讐」の舞台で、ハンガリー独立を暗躍する一派の根城である。どちらもハプスブルグ帝国が崩壊した後の不安定な政情をバックに、国境が動いた一帯であった。余談だが「アドリア海の復讐」はデュマの「モンテ・クリスト伯」の焼き回しである。これが又痛快な復讐劇で、本家と同じく手が凝ったストーリーになっている。もしも推薦する図書を一冊上げろと言われれば、迷いなくこの本を挙げたい。
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