良く飲むウィスキーに、ジェムソン(Jameson)がある。緑のボトルのアイリッシュウィスキーで、3回の蒸留法で色は薄いが味はしっかりしているのが特徴である。一時凝っていたジャック・ヒギンズの小説では、殺し屋が一仕事終えて飲む酒としてよく登場した。本を読みながら杯を重ねると、主人公のIRAになった気分になりハードボイルドを楽しんだ。
何年か前にアイルランドを旅した時、その蒸留所を訪れた。南部のミドルトンにある敷地に入ると大きなポットスティルがあり、ウィスキーのいい香りが漂ってきた。試飲したウィスキーグラスは口が広くて味が引き立った。近くには、アイルランドからアメリカへの移民を送り出したコーブ(Cobh)の港もあり、移民第一号となった親子の銅像が建っていた。タイタニックが出港したコーク(Cork)の港町や、色々郷愁を感じさせる辺りだった。
そのジェムソンだが、ル・ポアン誌の今日は何の日(C'est arrivé aujourd'hui) を読んでいたら、1880年の7月1日は、ジェムソンが人食い人種に少女を提供した日だという。場所はベルギー領コンゴで、アフリカ遠征に参加した創業者の息子James Jamesonが、オスマンの奴隷商から買った11歳の少女をカンニバルの昼食に提供し、様子をスケッチしたという。対価はハンカチーフ6枚だった。少女は終始声を発することがなかったというオチもついていた。これを契機に個人のアフリカ旅行が禁止されたというが、気味の悪い実話を知ってしまった。
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