Tuesday, 19 May 2020

南部から見たCivil War

昔から、女性作家の小説は苦手である。余計なセンチメントが、物語の展開を邪魔するからだ。改めて読み直した長編小説「風と共に去りぬ(Gone with the wind)」も例外ではなかった。主人公のスカーレットは、幼友達のアシュレに思いを寄せ処から物語は始まる。しかしアシュレにはメラニーがいたのでその思いは実らない。一方でバトラー船長から求愛を受け、3度目の結婚でそのバトラー船長の妻になるのだが、ある時アシュレとの密会現場を目撃され、最後は彼からも見放されるのであった。映画では情熱的な南部の女性という設定だが、小説で読む限りは、「どうしようもない女の一人」に過ぎない気がする。長々と読ませておいて、「最後までこれか!?」とがっかりした。宝塚歌劇なら兎も角、小説にしては締まりがない。

ただ南北戦争を南部から描いている点は興味深い。一般的には北軍が奴隷解放の正義で勝っている印象を持っていたが、読むと実は南部は黒人と上手く共存していたのが良く分かる。スカーレットの家も100人を超える黒人を抱え、家族同様の生活を営んでいた。黒人を蔑視するニガー(Nigger)という言葉は、北が使うのを南の白人が憤慨する件や、解放は南アフリカの時の様に混乱と失業を生んだり、本当にそれが良かったのかという気持ちになってくる。一方、北は南の戦争被害を戦後に補償したり、今に通じる融和策も講じた。尤もスカーレットの父親の様に補償を拒否する人も多く、当時のヤンキーに対する溝は深かった。

昨年、その雌雄を決したゲティスバークの古戦場を訪れた。最後は高台に陣取った北軍の勝利で終わるのだが、衝突場所ごとに大砲と慰霊碑が並べられ、正にアメリカの聖地であった。有志が鎮魂ラッパを吹き始めると、訪れた人々は直立で慰霊していた。ヨーロッパからやってきた移民が二手に分かれて戦い、100万人近い人が死んだ戦争だった。二大政党の原点もその辺にあるようだし、アメリカの原型が伝わってくる。

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