友人のS君は、昔から大のクラシック音楽ファンである。その彼が引退を機に、良くヨーロッパまで足を運んで生の演奏を楽しんでいる。真にリッチな限りであるが、昨年はバイロイト音楽祭に行ったと言う。一晩いくら掛かるか知らないが、暑い中冷房もない部屋で長時間座っている体力も含めて、中々真似できるものではない。
そのワーグナーの祭典だが、加藤浩子さんの「オペラで楽しむヨーロッパ史」を読んでいたら面白い事が書いてあった。それは日本の小泉(元)首相の話だった。ワーグナーは反ユダヤ主義者だったため、ヒットラーも心酔した話は有名である。そのためバイロイトは戦前の聖地になっていたため、戦後もドイツの政治家は敬遠して足を踏み入れる事がなかったという。ところが小泉さんがドイツを公式訪問した際に、大のオペラファンだった彼がバイロイト音楽祭の鑑賞を希望し、当時のシュレーダー首相を誘った。これが切っ掛けになり、その後はメルケルさんなども足を運ぶようになったという。兎角世界の舞台では影の薄い日本の政治家だが、たまにはいい事もするもんだ。
バイロイトには行った事が無いが、近くにはニュールンベルグやレーゲンスブルグなど、バーバリア地方には美しい街が沢山ある。ビールの種類も豊富だし、モーゼルワインの産地でもある。仕事や旅で何度も訪れた。そんな楽しかった日々を思い出した。
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