Monday, 20 April 2020

万事塞翁が馬

NYの感染死亡者が減少傾向にあると言う。ピークアウトしたのか、余談は許さないが成り行きが注目される。NYと云えば世界の憧れの都市である。(生活した人の話だと)地下鉄は便利だし、公園、商業施設や郊外の自然が豊かで、とても快適に暮らせるらしい。そんなNYに昨年、ヘッドハントで赴任した人が居た。直後に今回のコロナ感染に襲われ、思いも掛けぬ事態になった。正に万事塞翁が馬である。

諺の「万事塞翁が馬」の語源は、中国の老人(塞)の話である。彼曰く、足の遅い馬が逃げた時、足の速い馬を連れて戻って来た。喜んでいると、その足の速い馬に乗った息子が振り落とされ足を折った。悲しんでいると、足を折ったせいで戦争に行かないで済んだ話である。禍福は糾える縄の如しで、幸不幸は交互にやってくる。長かったサラリーマン生活もそうだった。つまらない仕事と思っていると、後になってそれが意外と役に立ったり、反対に恵まれたポストに就いて、同僚の妬み嫉みで足を引っ張られるなど、浮き沈みの繰り返しだった。何が良くて悪いのか、最後まで本当に分からない。

今回の異常事態はまだまだV時回復どころか、意外と長期化する気がする。長引けば倒産が出て社会が混乱するだろう。しかし新たなビジネスも生まれるだろうし、テレワークで何とか会社が廻る事が分かれば、労働環境の改善にも繋がるに違いない。何より家族の絆を再確認する切っ掛けにもなった。一方でこれから国境を越えた人の移動は厳しくなり、フラット化した世界も後戻りするかも知れない。コウモリや野生動物を食べる人とは、一線を画すことの大事さを痛感したからだ。ともあれ、ウィルスに侵され逃げ惑う光景は万国共通である。久しぶりに、政治信条やイデオロギー抜きで世界が一つになっている。

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