本屋に行くと、「帝国ホテルのオールド・インペリアル・バーBOOK」なる本があった。帝国ホテルの2階にあるそのバーは、最近でこそご無沙汰しているが昔よく通った。そんな懐かしさからつい立ち読みしてしまったが、建築したライト氏の逸話から始まり、名物のカクテルや阿川佐和子さんも登場して華を添えていた。
Old Imperial Barは日比谷駅から歩いて行けるので、会社帰りや二次会に便利だった。静かでいつ行っても比較的空いていて、特にカンター席は一人一人の手元だけに光が差すので、お酒に集中できる雰囲気が好きだった。ただ他人との待ち合わせで先に飲んでいると、つい一人の世界に入ってしまうから危険である。ある時、後から来た人に肩を叩かれてはっと我に返った事があった。バーテンダーも礼儀正しく、さり気ない距離感を保っているから快い。聞き耳を立てられたり、監視されていると客が感じないのは、流石一流のバーである。
ビールやウィスキーを頼むと、定番の柿の種やチョコが添えられる。特にここの柿の種は美味しいので、ある時こっそりバーテンダーに「これって自家製なの?」と聞いてみた。すると「(ここだけの話ですが)それは新潟のT製菓のです・・」と教えてくれた。それから我が家でも直に取り寄せて、帝国ホテルを楽しんでいた。友人にも、「これは帝国ホテルの柿の種だよ!」と言って小分けすると喜んでくれた。ただそれも暫くして止めてしまった。やはりあそこで出て来るから美味しかったのである。
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