Saturday, 7 March 2020

プロチダの港町

テレビを見ていたら、イタリアの港町が紹介されていた。地元の漁師達が歓談している風景から、小さな漁港のようだった。聞くとプロチダ(Procida)島だという。どこかな?と思って調べてみたら、ナポリの沖合だった。フェリーで30分というから熱海の初島みたいな感覚だろうか?カラフルな家々はイタリアの田舎が凝縮したようで、郷愁を誘われた。

ナポリの辺りは随分前に旅した。ナポリの町は泥棒も多いと聞いていたので物騒な感じがした。狭い路地を物凄いスピードで走り抜けるタクシーも怖かった。近くにポンペイ遺跡があった。2000年前の町を歩くと不思議な気分になった。噴火を起こしたベスビオス山に登った帰り道、レストランでスパゲティナポリタンを食べた。やはり本場の味は素晴らしく、ただでさえ大盛りの皿をお代わりした。泊まったのはソレントの町だった。レモンの産地らしく、街にはレモンリキュールで溢れていた。宿のホテルが海に面していて、透き通るエメラルドグリーンが美しかった。翌日はソレントから船でカプリ島に渡った。カプリはトム・クルーズの別荘や高級ブチックが並ぶ金持ちの島だった。そこから有名な「青の洞窟」に行った。洋上で乗り換えたボートで波と一緒に洞窟に入ると、写真で見ていた光景が広がった。神秘的な空間で、中で船頭がカンツォーネを歌ってくれた。

ソレントから南に行くとアマルフィー海岸が続いた。当時は宮本輝の「朝の歓び」が連載されていて、その舞台になったのがアマルフィーだった。確か中年の男が旅していると、日本から来た若い女性と出会う話だった。映画「旅愁(September Affair)」でも、舞台になったのはこの辺だった。飛行機に乗り遅れたジョゼフ・コットンが若いピアニストと知り合い恋に落ちる流れは、思えば宮本輝の小説と似ていた。この辺りで巡り合えば、誰でも簡単に恋に落ちてしまう魅力的な場所だった。

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