Wednesday, 8 January 2020

人質救出のプロ

カルロス・ゴーン被告の逃亡を見ていると、映画「アルゴ(ARGO)」を思い出す。ARGOはイラン革命の時に、国を出れなくなったアメリカ人を救出する物語である。今回は音楽機材の箱に隠れたようだが、ARGOでは架空のSF映画をでっち上げ、そのスタッフに変装して脱出した。どちらも綿密に準備計画され、大胆にプロが遂行した点で似ている。因みに先日トランプ大統領が、「もしイランが報復に出るなら、52か所の基地を攻撃する」と言っていた52という数字は、その時に脱出出来ず人質になったアメリカ大使館員の数だった。

人質の救出は、アングロサクソンの十八番なのかも知れない。古くはヒットラーによるムッソリーニ救出や、最近ではランボー(RAMBO)など数多くの作品がこれをテーマにしている。ゴーン被告も、今回の脱出劇の映画化を考えていると囁かれているが、そんな背景があるようだ。

一連のニュースを聞いていると、改めて日本は島国だな!と感じる。失態を演じた司法や検察の在り方は、やはり国から出れない日本人を前提としたものだったから仕方ない。仮にそれが整っても、過激な手段を取るよりお金で解決するのが日本人である。典型的なのは、80年代半ばにフィリピンで起きた三井物産の若王子事件だ。そう言えばあの時、暫くして会社にアメリカ人がやってきた。セキュリティー会社の名刺を渡され、「御社の要人が同じ目に遭った時に救出を手掛けます」と言われた。高額な手数料で何もそこまでしなくても、とお断りした記憶がある。救出のプロがいても、使えないのが日本人である。

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