Friday, 8 November 2019

ラグビーとボーア戦争

ワールドラグビー決勝は、事前の予想を覆して、南アフリカがイングランドに勝利した。表彰式では、銀メダルを授与された何人かのイングランド選手が、メダルを首から外した。イギリスにはGood loser という言葉がある位だから、あれは明らかにスポーツマンシップに反する行為だった。久々の決勝まで来て敗けた事が悔しかったのか、旧植民地に敗れた事が屈辱的だったのか、その辺はよく分からない。

思い出しのは、昔読んだジャン・モリス著「帝国の落日(Farewell the Trumpets)」である。イギリスの凋落を綴っている本だが、その発端はボーア戦争だったと書いてあった。ボーア戦争とは、1800年の後半に、南アフリカに入植したドイツ系のボーア人と、旧主国のイギリスの間で起きた戦争である。結果的にはイギリスが勝利したが、財政を大きく圧迫し、その後の第一次大戦へと疲弊の道を歩む事になった。著書ではそれを「大英帝国の終わりの始まり」と言っていた。

あれから140年、折しもイギリスは、EU離脱(BREXIT)の佳境に差し掛かっている。もしも離脱になれば、経済への影響も大きいだけでなく、スコットランドの独立など、益々国の形が小さくなる事にもなりかねない。ボーア戦争から続く凋落はまだまだ続いている!それを彷彿とさせる象徴的な出来事だった。

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