Saturday, 23 November 2019

ベルルスコーニの半生

シシリー島を旅したのが2011年だった。1週間かけて車で島を廻った。古代遺跡や古びた街並みに、凝縮されたイタリアがあってそれは楽しい旅だった。その頃イタリアは選挙の最中で、現職のベルルスコーニ首相の成就に注目が集まっていた。ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)氏といえば、汚職、麻薬、マネロンに加え、当時買春罪で起訴されていた。ただ旅先で地元の人に評判を聞いてみると、殆どの人が肯定的で、その人気振りに驚かされた。

そんな氏の半生を綴った映画「LORO(欲望のイタリア)」が公開されたので観に行った。自宅で披くブンガブンガパーティーなんて本当にあったのだろうか?まして現職の首相が未成年少女と関係を持つなんて?と思っていたが、それは本当だった。コンパニオン派遣会社が、調達した若い女性を大挙してサルべニア島の別荘に送り込んでいた。映画では沢尻エリカの逮捕で有名になった麻薬MDMAも登場し、そのエキスタシーの効用もたっぷりPRしていた。裸で踊り狂う前半の乱交パーティーは余りにハレンチで、見ていて気持ち悪くなった。

ただ最後は一転し、2008年に起きたラクイラ(L'Aquila)の地震のシーンで終わる。被災した人々を見舞い、その厳かな雰囲気は前半の狂乱を中和してくれた。崩壊した家屋に代わり仮設を用意した姿を見ていると、これって彼が起こした人工地震?とも思える流れだった。ベルルスコーニ氏は不動産で財を成した人である。カネの為なら何でもする辺りは、そう言えば同業のトランプ氏と似ていた。ともあれ、贅を極めたサルべニア島のヴィラを堪能できたし、アモーレのイタリア社会を垣間見えたり、あっという間の2時間半だった。

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