愛読する中公新書に、「物語 ナイジェリアの歴史」が出たので読んでみた。アフリカは昔モロッコのカサブランカに行った以外、全く未知の大陸だ。そのカサブランカでも、買い物をしていると地元の若者につき纏われ、危険を感じて通りかかったパトカーに逃げ込んだ苦い経験がある。況やボコハラムの少女大量誘拐が記憶に新しいナイジェリアなんて、行こうとも思わないし行く気にもなれない。
そんな国だが、本では奴隷貿易から始まった歴史を詳しく解説している。植民地の宗主国はイギリスだったからキリスト教の布教も行われ、その会派が人口の2割を占めるイボ族だった。ただ3百万人の飢餓を生んだビアフラ戦争で敗北したのを切っ掛けに、イボ族の勢力は弱まったという。私がナイジェリア人で唯一知っているのはテレビに活躍するボビー・オロゴンだが、彼もイボ族というから、内乱から逃げて来たのだろうか?大陸に送られた奴隷の末路と重なり、悲惨な運命にあって強かに生きる別の姿が見えて来た。
本の副題は「アフリカの巨人」である。確かに人口は2億人近くいて経済も石油で潤っている。言語は英語だし、アフリカの中でも将来が期待されている。ただ馴染みのない地名と人名は、正直中々親しみが持てない。また未だに人身売買や汚職が横行し、本ではアフロビートの歌手がバックで歌う女性27人を一度に娶る話を紹介していた。巨人と言っても、命の値段は安そうだしモラルも大分違うようだ。
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