Monday, 9 September 2019

三たびの海峡

帚木蓬生の「三たびの海峡」をDVDで見てみた。三国連太郎や南野陽子など、多くの日本人俳優が朝鮮人を演じていた。物語は戦時中に三池炭鉱に連れて来られた朝鮮人の男が、人生の末期に戻って来る話である。見ていてピンハネした所長は確かに悪い奴だったが、彼らが強制的に連れて来られた訳でなく、募集に応じて来日した様子が伺えた。戦争が終わり役場に行くと、ちゃんと恩給も支給されていた。

三池炭鉱だけでなく、戦時中に朝鮮人が働いた場所の一つに足尾銅山もある。今では廃坑になっているが、トロッコに乗って坑内に入ると(人形だが)裸の男達が当時を彷彿とさせてくれる。山の上に一軒ある国民宿舎に泊まり、翌日山を下るとさり気なく墓が建っていた。立派な中国人の墓に比べ、供養する人が居ないのか?朝鮮人のそれはとても粗末だった。南方から半ズボン姿で働いていたオーストラリア人の墓はなかった。

日本が終戦末期、皇族と共に遷都を計画した松代の大本営がある。長野の山奥に、しかも地下要塞の発想が常軌を逸していたが、当時は本気だったのだろう。ここで働いていたのが3000人の日本人と7000人の朝鮮人だった。山の反対には慰安所もあって女性も住んでいたようだ。金も支払われ、労働環境も良かったようだ。朝鮮人労働者というと、兎角連行されたイメージがあるが、多くは日本人と同じに扱われた姿が見えてくる。

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