昨日のオリンピック代表選考を兼ねるマラソンは、一発勝負の緊張感があって面白かった。最初から勝負に出た設楽選手は37Km辺りで追い付かれたが、果敢な挑戦で快かった。それに比べ、日本記録保持者の大迫選手は、最後まで勝負を手控えていたような気がした。いつスパートするのか?心配している内に置いて行かれた。結果、日本記録を出したことのない2人が代表に内定した事に、周囲は少し戸惑っている。
記録保持者だと兎角期待も膨らむが、実はマラソンの場合あまり過去のタイムは参考にならないようだ。調べてみると、世界記録保持者がオリンピックで優勝した例は過去に1件だけ、あの日本統治時代のベルリンオリンピックで優勝した孫選手だけであった。その逆、つまりオリンピック優勝者がその後世界記録を出したのも1件だけ、今の世界記録保持者であるケニアのキプチョゲ選手である。だから仮に大迫選手が選ばれても、過度な期待は禁物と言う事になる。尤も今や2時間1分台で走る高速マラソン時代、誰が代表になっても入賞すら難しいのだが・・・。
ところで、先の東京オリンピックのマラソンでは、円谷選手と英国のヒートリー選手のデットヒートが記憶に新しい。円谷選手は最後で抜かれた屈辱から、自ら命を絶つ悲劇が本当に痛ましかった。トラックで抜いたヒートリー選手は、直前に世界記録を出した実力者だった。余談だが、その後英国を取材していた日本の新聞記者が、車内で英国人女性から「あなたは日本人ですか?」と声を掛かられた。その女性はヒートリー選手の娘さんで、当時を気遣ってくれるエピソードに日本国民は癒された。そのヒートリーさんも亡くなり、アベベも若くして交通事故で逝った。昨日のような話だが、また新しいドラマが始まろうとしてる。
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