Sunday, 4 August 2019

目は口ほどに

令和新鮮組の登院が話題になっている。重度の障害を持つ議員の一人は、ALS(筋委縮性側索硬直性)である。視線の会話を補助員が読み取っていたが、国会議員として真っ当な議員活動が出来るのだろうか?支える費用も掛かるし、少し無理があるような気がしてならない。

思い出したのは、アレキサンダー・デュマの「モンテ・クリスト伯(Le Comte de Monte-Cristo)」である。作品の後半に登場するノワルティエ(Noirtier)という老人がいる。彼は脳卒中で全身不随のため寝たきりである。唯一意思を伝える手段は視線であった。彼はその視線を使い、息子の後妻が前妻の娘(つまり孫娘)を毒殺しようとする事から守るのであった。読んでいて、視線を孫娘がどうやって読み取るのだろう?と不思議だったが、分かる人には分かるようだ。

モンテ・クリスト伯の物語は、痛快な復讐劇である。そのノワルティエの息子は検事総長まで登り詰めた大物だったが、元は主人公のダンテスを無実の罪で投獄した検事で、私生活でも赤子を遺棄した悪者であった。ところが遺棄された嬰児は危うい処で救われ、大人になってその事を知った彼は父を糾弾し破滅に追い込むのであった。ダンテスもモンテ・クリスト伯の名前で政敵の前に現れる。「目は口ほどに物を言う」と言われる。障がい者だと思って蔑視していると、思わぬしっぺ返しがあるかも知れない。

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