若い頃に映画の名セリフに凝った時がある。例えば007、同僚のQがボンドに助言する「敵に弱みを見せるな(Never let them see you bleed)」や「いつも逃げ道を用意しておけ(Always have escape)」は結構使わせてもらった。仕事でもギリギリまで頑張らないで、駄目だと思ったら出直せばいいと悟るようになったり、相手に弱みを握られると不利になるという教訓も得た。
ハンフリー・ボガードとイングリッド・バークマンの「カサブランカ」もある。流石に「君の瞳に乾杯(Here`s looking at you, kid)」は気障過ぎて出番が無かったが、「昨夜何していたの?」「そんな昔の事は覚えていない!(That`s so long ago, I don`t remember)」「今晩どうするの?」「そんな先の事は分からない(I never make plan that far ahead)」は間を持たせた言い回しで好きだった。また主人公のリックが犯人を匿っているのか?と聞かれた時、「俺の首は誰にも差し出さない(I stick my neck to nobody)」もいいセリフだ。
最近久しぶりにそのカサブランカの映画を見てみたが、改めて奥が深い作品である。例えばイボンヌというフランス女がバーでドイツ人を同伴するのを見て、「彼女は前線で頑張っている(She may constitue entire second front)」と陰口を叩かれた後、ラ・マルセエーズを熱唱するあたりは、良く計算された構成だった。また映画の冒頭で、不法滞在者がペタン元帥の肖像画の前で射殺される処から始まるが、最後もそのビッシーの水をゴミ箱に捨てるという、これも美しい対比だった。また警部に言い寄られた妻を、リックがルーレットでカネを作ってやる件がある。夫妻はブルガリア人と言う事は、ドイツに追われたユダヤ人かと思えて来た。
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