Tuesday, 21 May 2019

フォース橋の諺

先日、テレビでスペインのビスカヤ橋を紹介していて面白かった。橋からワイヤで吊るされた運搬機が、車と人間をぶら下げ対岸に運んでいた。何やら世界最古の運搬橋で、今では世界遺産だという。メンテが大変な処から、「泣かされる女性ほど愛おしい」の諺にもなっているという。場所はフランスのバスク地方からスペインに入り、大西洋沿いに一時間ほど走ったビルバオの町である。随分前の夏に近くの町まで行った事がある。強い陽光の下、海岸で遊ぶ少女は皆トップレスで、その地方の素朴さに打たれた。番組ではやはり世界遺産のフォース橋も紹介していた。こちらはスコットランドで、立派な鉄道橋であった。塗装が大変な処から、Painting the Forth Bridgeは「いつまで経っても終わらない」の諺になっているという。場所はエジンバラからセント・アンドリュースに向かう辺りであった。この辺は美しい橋が多く、そのセント・アンドリュースからダンディーの渡るテイロード橋は、一度引き返し2度も渡り直した記憶がある。

橋は人工的な建造物だが、何かヒトの血が通っているような親近感がある。先日もシドニー湾のハーバーブリッジを見た時は感動ものだった。よく観光ガイドに出て来るので知ってはいたものの、実物に接すると、その美しさと大きさに圧倒されてしまった。良く見ると欄干を誰かが歩いていた。今では命綱を付けて半日掛かりで上まで歩くコースらしいが、考えただけで足が竦んでしまう。フランスでも、ノルマンジー地方にタンカレヴィル橋という美しい橋がある。セーヌ川が大西洋に抜ける辺りに架かる全長1420mの橋で、パリの古い建造物を見慣れていると、突然フランスの近代に出会ったような気分になる。こちらも辺りに遮蔽物がないので、絵のようなシルエットである。

そう言えば、子供の頃に連れて行ってもらった「かちどき橋」もあった。まだ娯楽が少ない頃、橋の開閉を見るだけで興奮したものだった。東京湾のアクアラインやレインボーブリッジも、何回通っても気持ちいいものだ。

Saturday, 18 May 2019

女性の婚活ゴルフ

「楽天の一人ゴルフ」というサイトがある。思い立った時に1人で、しかも色々なゴルフ場でプレーが楽しめ、プレー費も安くから中々好評のようである。初めて会う人同志だが、適度な遠慮があり、社交的な空間が生まれるという。何日も前からメンバーを募り準備するのに比べ、柵もないから気軽だ。

そのサイトに、最近は一人で申しむ女性が増えいると云う。中には婚活目的の人もいるらしい。確かに申込時には男女の年齢層や大体のスコアを書くので、事前にターゲットが絞り込める。それに加え、ゴルフをやるからにはソコソコの経済力がある人だし、上手く結ばれた暁には、一緒にゴルフを楽しむ事が出来る。気が合えば「今度また廻りませんか?」に発展し、「あとピンまで50ヤードです」のコースレッスンは、二人の距離を自然に縮めるというものだ。流石、今の女性は目の付け所が違う!

昔は世話好きなおばさんがいて、待っていても向こうから見合い写真を持って来てくれた。時間を掛けて探す苦労も無い反面、一点張りだから断るのも一苦労だった。今は出会い系ネットや婚活パーティーに代わったが、数が多いだけに逆に絞るのも大変な気がする。その点、こうした趣味から入るのは中々利口な方法だ。尤も中には強かな人もいるから、用心はしないといけないが・・・。

Tuesday, 14 May 2019

武士の情け

先日、とあるゴルフクラブで昼食を取っていると、離れた席に、知り合いのTさんを見つけた。早速挨拶に行くと、隣に若い女性が座っていた。Tさんは奥さんもいる人だから、「あれ?これはひょっとして秘密のゴルフ?」が頭を過った。そんな事もあって挨拶もそこそこに退散したが、見てはいけないものを見てしまったようで何か閥が悪かった。今から思うと、武士の情けで見過ごせば良かった。

それにしても、思わぬ処で思わぬ人に会うとビックリするものである。若い頃、仲間の結婚式で行った札幌の目抜き通りを歩いていると、女性を連れた会社の人と鉢合わせになった。東京から離れた場所で、雅か知っている人はいないだろう、そんな安心感から彼は思わず、「これはお互い黙っておこう!」と言って去って行った。ただ考えて見ればこちらは男二人だったので、秘密にする必要はないから、相当慌てたようだ。後で知った事だが、北大を出た彼は実家にフィアンセを紹介しに帰ったところで、その後目出度く二人は結婚した。これも今から思えば、こちらから配慮してあげれば良かった。

また会社の人達と広尾に食事に行った時だった。ワイワイ騒いでいると、後輩が彼女を連れて入って来た。彼は逃げる訳にもいかず、冷や汗を流しながら背中合わせにデートを続けていたが、生きている心地がしなったに違いない。こう言う場合は、一言断って思い切って店を出た方がいい。臨機応変に諭してやれば良かったと、これまた反省している。その辺デリカシーが要るのに、ついつい週刊誌チックになってしまう。

Saturday, 11 May 2019

アカゲラの死

最近、保護した野鳥が気が付くと無残な姿で発見された。それも立て続けで、1度目は羽を怪我して飛べない鳩だった。役所に聞いても野鳥は世話しないというので、軒先に置いて様子を見ることにした。ところが暫くして戻ると、何者かに喰い千切られていた。こんな事をするのはカラス位しかいないと、日頃からの天敵が一層憎くなった。2度目はアカゲラであった。頭の先が赤いキツツキである。こちらはガラスに衝突し脳震盪で倒れていた。目は閉じていたがピーピーと微かに鳴いていたので暫く回復を待つ事にした。ところがこれも翌朝に見に行くと、羽が辺りに散らばっていて悲劇が起きた事が分かった。

改めて自然界の厳しさを知ると共に、生き物の命の果敢なさに触れた日になった。結構こうした体験はトラウマになる事も多い。若い頃に青山通りを歩いていた時だった。行き交う自動車の様子がおかしいので目をやると、犬が轢かれて倒れていた。既に重症だが未だ生きていた。辛うじて気が付いた車が避けていたが、もはや二度目の事故が起きるのは時間の問題だった。「助けに行かねば・・・」そう思ったが、何故か躊躇してその場を去ってしまった。その後悔が、40年も経っても忘れられない記憶として脳裏に張り付いている。

そう言えば、先日もポーランドの田舎を走っていた時、道路に鳥が歩いていた。「あ!」と思った瞬間、その鳥は飛び上がったが、ほぼ同時に車に衝突して白い羽がパッと舞い上がった。庭のアカゲラもそうだが、鳥の羽は簡単に霧散する。その日も憂鬱な気分になり塞いでしまった。些細な事だが、歳のせいか物のあわれが身に染みる。

Tuesday, 7 May 2019

人間動物園

日本が韓国を統治していた頃、パリで万博が開かれた。まだ日本が併合する前だったので、韓国は出展する事が可能だった。ロシアと中国と日本に挟まれる中、存在感を世界に知らせしむるいい機会だったが、結局折り合いが付かず不参加になった。「李垠(り・ぎん)」の筆者は、その事を残念がっていた。もしもアピール出来たら、その後にも影響したかも知れない。

ル・ポアン誌の「今日は何の日」では、そのパリ万博が130年前の1889年5月5日に披かれた話を特集していた。既に4回目となったパリ万博で、エッフェル塔の完成が話題になった頃だった。注目を集めたのが、開催国フランスの出展「人間動物園(Zoo humain)」であった。黒人村と称して、アジア・アフリカから400人の原住民を連れてきて展示した。アフリカはセネガルやコンゴの遊牧民、アジアからもニューカレドニアの先住民カナックやベトナムの山岳民族など、今から思えば人種差別も甚だしいが、その多様な生活振りを再現したという。正に植民地時代の成せる業だった。尤も日本からも柳橋の芸者が茶屋を再現したり、大陸の纏足の少女も連れていたと言うから、国の威信にはソフトが欠かせなったようだ。

その万博は2025年に大阪で披かれる。どんな出し物になるのか、今から楽しみだ。

Sunday, 5 May 2019

もう一人のラストエンペラー

毎日話題に事欠かないお隣の韓国、知っているようで分からない事ばかり、いつまで経っても近くて遠い国である。それにしても韓国人の怨念はどこから来るのか?日本人はそんなに悪かったのか?事実はどうだったのか?そんな気持ちもあって、丸善で新刊の「朝鮮最後の王 李垠(り・ぎん)」が目に留まったので買ってみた。サブタイトルは、「もう一人のラストエンペラー」である。日本人の皇族を妻にし、正に日韓併合の象徴として祭り上げられた人で、未だに謎に包まれた処が多い。

本は韓国人の先生が書いたせいか、伝統的な文化・仕来り・家系の件が多すぎ、途中から飽きて読み飛ばしてしまった。ただ伊藤博文を暗殺した安重根について、変な事を紹介していた。安重根は当時韓国統監だった伊藤をハルビン駅で狙撃し、今では韓国の英雄になっている。今どき、暗殺者を英雄扱いにするセンスもどうかと思うが、彼が書いた「伊藤博文の15条の罪状」は少し同情を誘う内容である。(伊藤は)王妃を殺害し、皇帝を廃位にし、陸軍や新聞を禁止にした・・・、殆どが尤もと思われた。ただその14条に「日本先帝を殺害した罪」があった。伊藤が先の天皇を殺害したとは一体どういう意味なのか?韓国人がそれを憤慨するのもよく分からないが、引っ掛る部分であった。

知らなかったが、李垠が日本の皇族の梨本宮方子と結婚して住んでいたのが、今の赤坂プリンスの旧館だったという。学生時代にダンスパーティーの会場で良く使われた場所が、日韓の歴史の舞台とは恐縮である。そう言えば、戦後の皇族解体で売りに出された不動産を買い占めたのが西武の堤さんだった。あの華麗なる一族では、家ばかりか娘までも安く買っていく姿が紹介されていた。その西武帝国も崩壊して今は昔である。李垠の本は3,4部が来年発売されるというので、後半が出たらまた読んでみようと思っている。

Friday, 3 May 2019

Hunter Killerの撮影地

5月のゴールデンウィーク、今年は10連休と長い。流石に道路渋滞も少し分散されているようだが、こんな時こそ、静かな都内で過ごすのが一番である。そんな事で、渋谷に映画「ハンターキラー潜航せよ(原題:Hunter Killer)」を観に行った。

潜水艦を舞台にした映画は、兎角地味なのであまり期待していなかった。しかし流石に今の作品は良く出来ていて、飽きずに楽しむ事が出来た。物語はロシア海軍で大統領を拉致したクーデターから始まる。放っておけば東西の戦争が始まる危機の最中、米潜水艦がロシア大統領の救護に向かう。あり得ない話を地上アクションも交え、スリリングに纏めていて面白かった。特に主役のGerard Bulterの演技が光ったし、本物の原子力潜水艦や駆逐艦の迫力が劇場の音響効果で凄かった。

旅行好きの者にとって、何より関心を誘ったのがその撮影地であった。最初に出て来たのが、スコットランドのNATO軍港であった。雪に覆われ荒涼としたその場所は一体どこだろう?北海だろうか?帰って調べてみると、何とアラスカのアンカレッジ近郊だった。一方ロシアの軍港も、フィヨルドに囲まれた寒々しい場所だった。此方はブルガリアの黒海のVerna軍港で撮ったという。それが分かると少し興醒めしてしまった。また救助されるロシアの大統領だが、プーチンとは似ても似つかぬ人だった。おかしいな?と思っていると、モデルはウクライナ大統領のプロシェンコだった。当初その設定を巡って揉めたようだが、確かに俳優も似ていた。DVDが出たら、その辺を再検証するのが今から楽しみだ。

Thursday, 2 May 2019

明治に始まる天皇制

平成が終わり令和の時代になった。新天皇の即位とそれに歓喜する国民の姿をテレビで見ていると、新しい日本の到来が伝わってくる。普段は疎遠な皇室だが、こういう時に改めて日本人の心を一つにする力を感じる。それにしても、前回の大喪の儀では、政府から喪に服す大号令が出て戸惑った場面も多かったが、今回は晴れ晴れしていていい。やはり世代の交代は元気な内にバトンタッチするに限る。

改めて、天皇とは何か?日本史に至っては知らない事も多いが、一方で発見もある。何年か前に京都に行った時だった。三条大橋の麓に、高山彦九郎という侍が土下座する像があった。皇居に向かって伏し拝んでいて、忠心の鏡みたいな人だった。良く見るとその侍は1700年代の人なのに、建立は1928年だった。意外と新しいと思っていると、次に寄った平安神宮も1895年建立と若かった。日清戦争の頃なので、ひょっとしてどちらも戦意高揚の為に作ったのだろうか?そんな事が頭を過った。それから琵琶湖に足を延ばし、たまたま寄ったのが近江神宮だった。立派な境内の奥に社屋が聳えていたが、これはもっと最近で1940年の建立だった。正に太平洋戦争が始まる直前であった。平安神宮は明治天皇の父孝明天皇を、近江神宮は38代の天智天皇を祀っていた。

調べてみると、同じように天皇を祀る橿原神宮は1890年、白峰神宮も1868年とやはり新しい。何となく、今の天皇制の原形は明治時代のようだ。しかしこれからも上手く維持出来るかどうか?特にネット社会の隠し事が通用しない時代だから猶更である。他国はもっと深刻である。英国の次期王妃は元愛人だし、タイではプレーボーイが国王になり共に人心が離れている。そんな王室の制度疲労もあり、その中で高貴で潔白な象徴が保てるか?令和は結構波乱の時代になるかも知れない。