Friday, 15 March 2019

ケン・ドーンの世界

先日、シドニー湾を歩いていたら、ケン・ドーン(Ken Done)美術館があった。ケン・ドーン氏はオーストラリアを代表する画家である。彼が日本を初めて訪れたのは、70年代後半か80年代初頭だっただろうか、知人の紹介で個展に行った。始めて見る鮮やか色彩は、とても躍動感があって強烈な印象だった。当時の日本は高度成長期に入った頃で、そのダイナミズムが時代にマッチしたのだろう、多くのファンが出来た。確か、雑誌のHanakoの表紙を何度か飾ったりした。

同じ頃、やはり大胆な色彩で魅了したのが、カトラン(Bernard Cathelin)である。こちらはフランス人だったが、銀座の画廊が紹介した。カトランの特徴は、やはり鮮やかな色彩と抽象化したモチーフの組み合わせであった。花や動物の題材が多く、ヨーロッパ的な落ち着きと品を兼ね備えていた。居間に飾ると部屋が引き立つというので、ステージアップを願う日本社会に受け入れられた。

絵画も世相を反映する。日本はバブルが弾けて絵画どころでは無くなったのだろうか、どちらの画家も最近ではあまり聞かなくなった。ケン・ドーン美術館の係りの人に聞くと、氏は未だに健在と知り嬉しかった。相変わらずのタッチで、多くの作品を手掛けているという。長年に渡り、こんな絵を描き続けられるオーストラリアが眩しく感じる。

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