Saturday, 2 March 2019

38度線の非武装地帯

第2回目の米朝会談が終わった。予想に反し会談は物別れになった。今までの友好ムードも一転し、トランプ氏はささっと帰ってしまった。いつものアメとムチ、脅しては宥める手法なのだろう。そもそも金正恩が核を手放すなんてあるのだろうか?手放したその瞬間に彼の命が無くなる事を思えば、また現実の世界に戻って行くのかも知れない。また仮に両者が終戦宣言を行えば、在韓米軍も要らなくなる。そうなれば日本も困る。どちらに転んでも、隣国の動きから目が離せない。

その朝鮮半島であるが、随分前に38度線ツアーに参加した事がある。1度目は板門店である。事前に登録したツアーバスに乗り、板門店を往復するツアーである。途中アメリカ軍のキャンプで昼食を取るのだが、その一角だけが保護されているようで、出されたハンバーガーがやたらに美味かった記憶がある。板門店では北の兵士が近くに立っていた。間近に敵を見たのは初めてだったし、国境に架かる橋を渡れば二度と帰れない緊張感が何ともリアルだった。

2度目はトンネルツアーである。北は今まで何本もの侵入トンネルを掘っては、南に発見されている。その中の一本をトロッコに乗って見て廻るのだが、車が通れるほど広かった。38度線からソウルまで40Kmしかない。こんな地下を取ればあっと言う間に制圧されてしまう。途中、北側から拡声器で何か叫んでいるのが聞こえた。「北はいい所だからおいで!」と言っているという。時期は今と同じ真冬、朝鮮半島の身を切るような寒さは尋常ではなかった。その乾き切った空に、拡声器の声だけがうら寂しく響いていた。

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