マフィアと云えばイタリア、中でもシチリア島はその本巣であろう。何年か前に島をレンタカーで一周したが、数ある旅の中でも一番印象に残る旅になった。島だから、歴史と文化が閉じ込められたのだろう、ギリシャ時代の建造物が今でも手付かずで残り、シラクサの裏路地ではアフリカ風の白装束の男が働き、街道にはトラック運転手を待つアフリカ女の娼婦が立っていた。ホテルでもクレジットカードは使えず全てキャッシュのみ、ただタコなど海の幸は新鮮で、オリーブオイルと合わせると美味だった。
折角なので、ゴッドファーザーのコルレオーネ村に寄ることにした。シチリア島は海岸沿い発展した町が続いている。しかしその村は島の中心地、つまり山の中にあり辿り着くのが大変だった。途中陽が暮れたので、ある村で泊まる事にした。ところがホテルらしき看板もないので、たまたま開いていた食料店に入って聞いてみた。勿論英語は通じないので身振り手振りで、すると「うちの2階なら泊まっていいよ!」と言う事になり、お世話になった。入ってみると旅人用の調理器やベットもあり、特別扱いされた訳では無いことも分かり安心した記憶がある。翌朝、近くに面白い所があるというので、店の人が連れて行ってくれたのが地元の教会だった。中に入ってビックリ、沢山の骸骨が衣服を着て横たわっていた。聞くとその村の人だという。子供もいれば年寄りもいる。亡くなった時のままの姿で祀られていた。
コルレオーネ村は岩に囲まれ、余所者を寄せ付けない雰囲気があった。戦後、その谷から多くの遺体が発見された話を聞いていたので緊張した。車を置いて町を歩くと、暫くして中心の広場に出た。昼時と言う事もあり、外に出ている人が多かった。しかし皆んな男ばかりで女性の姿は見えない。やはりマフィアの末裔なのだろうか?勇気を出して一軒のCaffèに入ると、中にいた男たちの視線が一斉に集まるのを感じた。気のせいか、目つきが鋭い。話掛けられる訳でもなく、ジーっとこっちを見ている。あまり慌ててはいけないとゆっくりコーヒーを啜り、店を出た時は流石にホッとした。実はゴッドファーザーは小説の世界だから、村とは関係ないと言う人もいた。いつかイタリアの人に会ったらその辺を聞いてみたい。
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