映画「ゴッドファーザー」のパート3は、劇場の前で娘が撃たれ、失意のままゴッドファーザーが息を引き取る所で終わる。ただ、バチカンの枢機卿が報復されたり、以前から良く分からない脈絡であった。しかし、暫く前にひょんな切っ掛けでラリー・ガーウイン著「誰が頭取を殺したか(原題:The Calvi Affair)」を読むと、そのカルヴィ事件を下書きにしている事が分かってきた。
カルヴィ事件とは、イタリアの大手銀行の頭取だったロベルト•カルヴィが、1982年6月、テームズ川に架かるロンドンの橋下で首吊り死体として発見された事件である。その不可解な死を手繰ると、バチカンのアングラマネーやマフィア、フリーメイソンなどが関わっていた事が判明し、当時は大きなスキャンダルになった。結局犯人や死因も特定できず、事件はうやむやになってしまったが、(映画にも出て来るが)その4年前にはパウロ一世が在位して1カ月ほどで謎の死を遂げるなど、バチカンのカネを巡る世界が浮き彫りになった。
マフィアとバチカン、一番遠いはず両者が、実は背中合わせに座っている。マフィアは3人の子供がいると、1人は法律家、1人は司祭、1人は医者にするそうだ。(確か金正恩も同じような事を言っていたので、その受け織かも知れない)。だからさして驚く事ではないのかも知れないが、そんな目で見ると世界も少し変ってくる。ところで松本清張がカルヴィ事件を題材に「霧の会議」という大作がある。折角なので取り寄せて読んでみたが、二流小説であった。やはり言葉の壁が大きかったのだろう。
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