Friday, 14 December 2018

ストライブの傾き

もう亡くなってしまったが、昔近所にKさんという御老人がいた。いつも身なりに気を配り、外出する時はジャケットにポケットチーフを飾っていた。そんなお洒落のせいだろうか、80歳を過ぎても背筋は真っすぐ伸びて歩き方も颯爽としていた。誰かが「若さを保つには服装に気を付ける事だ!」と言っていたが、確かに他人の視線を意識すると、芸能人ではないが効果があるようだ。Kさんもきっとそれを知って実践していたのだろう。

そんな事を思い出す切っ掛けになったのは、安積陽子著「NYとワシントンのアメリカ人がクスリと笑う日本人の洋服と仕草」という長いタイトルの新書だった。中々面白い本で、TPOに合ったドレスコードの定石を語っていた。例えば安倍首相のローファー靴やオバマ大統領の白い蝶ネクタイ、大臣認証式での石原伸晃氏の腕時計、河野大臣のベスト、防衛大臣だった稲田朋美さんや片山さつき氏の少女趣味の服など、確かに言われてみれば変だった。特に極めつけは鳩山由紀夫氏、首相としてチンドン屋みたいな恰好で世界に出て行った時は恥ずかしかった記憶がある。逆に小泉進次郎さんや麻生副総理、小池知事はセンスがいいらしい。

意外と知らなかった事も多かった。例えばストライブのネクタイに右肩上がりと右肩下がりがあったことだ。正式な方はパワー・上昇・明るさを象徴する右肩上がりで、公式の場所では常識になっているらしい。今まで右肩下がりブルックス・ブラザーズのタイを勲章のように愛用していたので、少しショックだった。因みに公式の場では無地が基本で、ストライブはカジュアルの部類になるという。ともあれ放っておけば無頓着になる身だしなみだ。馬子にも衣装、ユニクロで買った服でも気分は変る位だから、自身を見直すいい切っ掛けになった。


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