Friday, 30 November 2018

UNESCO世界遺産

秋田の”なまはげ”が、UNESCOの世界遺産に登録された。3年前に、秋田の大学に勤める友人を訪ねて冬の秋田を訪れ、彼と一緒に男鹿半島のなまはげ柴灯祭りを見た事を思い出した。市内から車で1時間弱、氷点下の中、会場の神社に着くと、沢山の観光客が集まっていた。驚くことに、その多くはオーストラリアなどから来た外国人であった。寒い中、はるばるこんな処まで来る気が知れなかったが、こうして正式に世界遺産になると、更に観光客が増えるのだろう。

ただ、世界遺産で観光客を呼び込もうと考えるのは、日本の特色かも知れない。それは海外で箔を付けて凱旋すると名を上げる島国の宿命なのか、将又UNESCOの拠出金NO1の見返りなのか?そう言えば、高尾山もミシュランの3つ星スポットになったのを切っ掛けに登山者が急増したり、江戸時代の浮世絵も、それまでは包装紙だったのが、外国人が持ち帰ってから価値が認識された。日本人は、いつも外から教えられて初めて自身を知る稀有な民族だ。

一方、ヨーロッパの世界遺産はひっそりしているイメージがある。今年、スロバキアの山越えをしていると、名も無い村でUNESCO World Heritageの看板が目に入った。折角なので寄ってみると、それは16世紀の木造教会だった。辺りには誰もいないし、「これが世界遺産!?」と疑った。ガランとした教会を出ようとすると、どこから出て来たのだろうか、突然女性の係り員に呼び止められ1ユーロを取られた。マルタ島の地下憤墓もそうだった。入り口の小さなプレートに、申し訳なさそうにUNESCO World Heritageと書かれていて初めて気が付いた。だったら入ってみようかと、小さな穴を潜ると、洞窟をくり抜いた祭壇があった。紀元前2500年と聞いて、そのさり気なさにビックリした記憶がある。

Thursday, 29 November 2018

本棚を見ると

旧知のMさんから、「新聞に推薦図書を載せたので見て!」と連絡があった。Mさんは世界を飛び回った商社マンだけあって、昔から目の付け所がいい。今回も地政学やイスラムから見た世界の本を紹介していたが、相変わらずセンスで、いつも裏切られる事はない。早速アマゾンで取り寄せる事にした。

若い頃だったが、柳田邦男の「マリコ」や、広瀬隆の「赤い盾」が面白いよ!、と教えてくれたのもMさんだった。「マリコ」はアメリカ人女性と結婚した日本の外交官の話である。2人の間に出来た娘マリコは、戦後も日米の懸け橋として活躍した女性であるが、彼女の複眼を通して描かれた世界はとても新鮮だった。「赤い盾」はロスチャイルドの人脈を綴った名著であり、こちらは著者の語学力に痛く感銘した記憶がある。

読書好きのFさんも、「何か最近面白い本ないですか?」と聞くと、必ずいい本を教えてくれる。暫く前だったか、ジョン・トーランドの歴史シリーズがいいというので読んでみると、確かに嵌ってしまった。本を読んでいる人は話題も豊かだし、進化しているから会っていて楽しい。本棚を見るとその人の人柄が分かるというが、確かに幹のように身体の一部になっていく。特に晩年になると、その違いが顕著になる気がする。

Wednesday, 28 November 2018

秋の山小屋生活

この秋は、長野の山小屋で過ごしている。朝起きると暖炉に薪を込め、火が温まるのを待ってコーヒーを入れる。水が美味しいから味が違う。朝の日課は犬の散歩である。今年は暖冬というが、やはり山の朝は寒い。ダウンに身を包み眠い目を擦るが、新鮮な空気を吸うと生き返ってくる。朝靄に掛かる日光が眩しい。

天気がいいと、午前中はテニスに行く。東京から移住した人や地元の有志が週4日集まっている。気楽な仲間達で、時間になるとウォーミングアップから、暫くするとダブルスのゲームを始める。2時間休みなしに動き回ると、流石運動した気分になる。愛犬はコートの横で見ている。最初は吠えたが、行き交う人が頭を撫でてくれるので、最近では待つ事にも慣れて来た。テニス仲間は、皆やはり寒い自然の中で暮らしている。こうして人と顔を合わせる事が唯一の温もりなのか、挨拶を交わす笑顔がとてもいい。自然は人を優しくしてくれる。


テニスの後は近くの温泉に行く。無名の鉱泉も多く、そこで一日中過ごすお年寄りに会う。静かな湯に浸かると、適度な疲労感で何とも言えない充実感に変る。すっきりしたところで、昼飯は蕎麦である。新そばのこの季節、きりっと冷たい水で切った蕎麦は格別だ。腹ごなしの後は、冬支度が始まる。暖炉に込める薪の準備は結構大変である。近くの木材置き場に木材を貰いに行ったり、仕込んだ薪を割る。数年乾かしてから斧を入れるが、真っ直ぐ育った木は数回振り下しただけで割れる。しかし曲がった木は中々やっかいだ。それは人間と同じだ!なんて思いながら切っている。1時間ほどの作業が終わる事には汗でビッショリになる。

苦労して仕込んだ薪も、一晩であっという間に燃えてしまう。夜は家の中でも息が白くなる程寒い。石油ストーブもあるが、なるべく使わないようにしている。そのメラメラと燃える火を見ながら飲む酒は旨い。つい時間が経つのも忘れてしまう。時折、外で動物が足音が聞こえる。サル、イノシシ、鹿、犬が敏感に反応する。

Saturday, 24 November 2018

水の一滴血の一滴

暫く前に、周防大橋に外国船が衝突した。その事故で水道管が破損し、周防大島の9000世帯が断水状態になった。未だに復旧していないと聞くので、さぞかし生活は大変だと想像する。この春、陸奥記念館を訪れた縁で、気になっている。

記念館は島の東の先端にあった。橋を渡り車で1時間は掛かっただろうか?結構大きな島であった。吉村昭著「陸奥爆沈」を読んだ直後だったので、船が沈んだ柱島近辺の海を見ながら、犯人と思われる男の半生を思い浮かべた。翌日、今度はフェリーで四国に渡った。船が昨日渡った周防大橋を抜け、その記念館辺りに差し掛かると、航路は急に狭くなった。どうやらこの辺は漁場らしく、平日だというのに多くの釣り船が集まっていて、フェリーの警笛で左右に散った。

そう言えば、あのシンガポールも水はジョホールバルを通ってマレーシアから輸入している。昔は「水の一滴、血の一滴」と言って確保が難しかったが、最近はあまり聞かない。下水を上手く再利用しているようだ。兎も角、水は命に繋がるから大変だ。

Friday, 23 November 2018

The Greatest Showman

ゴルフの帰り道、ラジオを付けると、紺野美沙子の「音楽遊覧飛行」が聴こえて来た。若い頃、彼女のファンだったので懐かしかった。その日は、オーストラリア人をゲストに迎え、ミュージカルを語っていた。中々間合いが良く快かった。最後に、ゲストの依頼で、アメリカの興行師PT.Barnamの生涯を描いたThe Greatest Showmanの曲を掛けた。初めて聞く歌だったがいい曲であった。その日の夜、偶然テレビでそのミュージカルを放送していた。確かにゲストの推薦するだけあって素晴らしい作品だった。

物語は、見世物小屋で身を立てた男の話であった。ゼロからスタートし、意外な余興で成功するサクセスストーリーである。見ていて、子供の頃に通った縁日にも同じような出し物があった事を思い出した。それは、生きた鶏を食べる小人の女の小屋であった。怖くて実際は入らなかったが、当時はどこも片輪を見世物にしていた。

ただ日本ならそれで終わる処、アメリカが凄いのは、その不遇の人に血を通わせ、逆境から立ち上がるストーリーに仕立てる。エレファントマンもそうだし、オペラ座の怪人、ミスサイゴン、レミゼラブルなど、思えばミュージカルの形ってどれも似ている!見ている人は、どこかで自分と重ねて感動する。生きる力を感じるのだろう。

Wednesday, 21 November 2018

女性に財布を渡すと

ゴーン氏は、会社の金を私的流用したと報じられている。永年トップの座に君臨すると、公費払いが当たり前になったのだろうか?自身の結婚式や休暇の宿泊代も会社が肩代わりしたのだろうか?暫くはこのニュースから目が離せない。

たまたま読んでいたジェフリー・アーチャーの短編集にも同じような話があった。タイトルは「Senior Vice President(上級役員)」というカナダの銀行員の物語である。彼の仕事は顧客の資金管理だった。ある時、その顧客の一人を訪ねると、既に死亡した事が分かった。それは大金持ちで、知っていたのは顧客の執事だけである。定年を間近に控えた彼は、その金を海外に送金し、顧客に成りすまして横領しようとした。計画は上手く運んだが、最後で事件が発覚してしまった。その時はどうしてばれたのか、彼には分からなかった。しかし良く考え見ると、取り込んだ執事を、いつの間にか自身の執事として扱うようになり、小切手のサインまでさせていた事に気が付いた・・・というオチである。

そう言えば、付き合っている女性に財布を渡すと、殆どの女性が暫くすると自分のカネと勘違いする、そんな実験をした人がいた。その人が云うには、最初女性は遠慮がちに払う度に聞いて来るが、暫くすると自分のカネだという意識に変るという。お金に纏わる錯覚は、偉い人も女性も同じである。そして、一度始めたら逆戻り出来ない何かがある。

Tuesday, 20 November 2018

ゴーン会長の逮捕

昨夜のカルロス・ゴーン会長逮捕のニュースには驚いた。日産を立て直した貢献者だったので、正直ショックだった。

内部通報で発覚したようだが、それにしても差額はどう処理されていたのだろう?昔から足が付かないように、危ないお金は現金で授受する習わしがある。しかし今回のように年間数億円にもなると、そうも行かない。セレブだから、世界に口座があるのは当然だが、問題は日産からどうやって払っていたかである。使途不明金があれば、会計士が気が付かなかったのだろうか?会社ぐるみで架空取引をねつ造したのだろうか?その手口が気になる。日産の発表を見ていると、随分前から今回の準備した様子が伺えた。普通は事件の関連者から捕まえるが、検察も一気に本丸に迫った背景は何だったのか?、謎は多い。

日産のCMに矢沢永吉の”やっちゃえ NISSAN”がある。正にやってしまった事件だった。

Sunday, 18 November 2018

銀座のクラブ

ハズキルーペのテレビCMが、日に何度も出て来る。たかが1万円程度の拡大鏡なのに、よくもそんなおカネがあるなあ?って思いで見ている。最近では武井咲が扮するクラブママと、小泉孝太郎と館ひろしのお客に変った。相変わらず軽いお色気がCMを盛り上げているが、久々に見る銀座のクラブに、つい昔を思い出してしまった。

バブル時代だったか、ハシゴの終着はクラブだった。綺麗な服を着た女性に囲まれ、ママさんから「お久しぶりね!」と言われると、自分の家に帰って来たような錯覚になった。見た事も無い高級チョコを食べながら、美女と飲むオンザロックの味はまた格別だ。帰りは勿論タクシー、暫くして請求書が会社に送られてくる。思えば変は仕組みだったが、高い料金も含め、当時は当たり前のように受け止めた。

そんな銀座のクラブだが、思い出すのは赤坂の蕎麦や「砂場」である。今ではもうないかも知れないが、風情のある店だった。夕方になると、出勤前のママを連れた初老の紳士の姿が目立った。ママさんは和服を、客はきちんと背広でお洒落し、まるで泉鏡花の小説に出て来るような趣があった。多分それから店に寄って早い時間に切り上げるのだろう。自分も歳をとったらそんな贅沢を味わいたい!当時はそう思ったが、今となっては夢の夢だ。クラブに行きたしカネは無し、ただ行けば背筋も伸びる気もするから、諦めるのはまだ早いけど・・・。

Saturday, 17 November 2018

GODIVAの身売り

最近、ゴディバ(GODIVA)の会社が売りに出された。日本の商社などが触手を延ばしているらしいが、今保有しているのはトルコの会社である。GODIVAはベルギーの会社だと思っている人は多いと思うが、あのゲラン(Gaylian)のチョコのオーナーも韓国のロッテだったり、調べて見ると資本と生産は全く別物と言う事が多い。

そう言えば、高級ゴルフクラブのHONMAも随分前に中国の会社になったり、最近ではシャープが台湾の会社になった。ロンドンのハロッズ百貨店も転売を重ね今ではカタールの会社だし、パリのインターコンチネンタルホテルも、やはりカタール資本だ。吉野家の牛丼がアメリカ牛と中国野菜を思えば、左程驚く時代ではないのかも知れないが、やはり実態を知ると複雑な気分になる。

それにしても、高級チョコはベルギー王室のスウィートのイメージがある。食べて良し、貰って又良し、至福の時にイスタンブール産とか韓国産だと知ると、露店やキムチの臭いが混ざってくる。つくづく食はデリケートで、知らない方が幸せな時もある。

Wednesday, 14 November 2018

WWI終結100周年

先日、第一次大戦(WWI)の終結100周年の行事がパリで行われた。トランプ大統領が雨で式典をキャンセルし話題になったが、多くの各国首脳が集まった。日本からは麻生副総理が出席したらしいが、やはり安倍首相が一緒にシャンゼリゼを歩いて欲しかった。

式典に続き、各国首脳は自国民が犠牲になった場所を訪れた。興味深かったのは、その知られざる激戦地であった。トランプさんが行かなかったのはパリ近郊のベロー(Belleau)で、米兵9千人が死傷したらしい。カナダのトルドー首相が訪れたのは、ベルギー国境近くのヴィミー・リッジ(Vimy Ridge)だった。こちらはカナダ兵が23万人も死傷した激戦地で、意外な場所の多さに驚いた。一方、独仏の首脳が訪れたのは、コンピエーニュの森だった。昔訪れたが、有名な列車が置かれていて、第一次大戦でドイツが降伏文書にサインした場所である。ヒットラーはそれに倣い、第二次大戦では逆にフランスに降伏(休戦)文書にサインさせた因縁の車輌である。

流石、安倍さんが行っても近くに日本軍が戦った場所は無いだろう。あるとすればマルタ島である。英国の支援に向かった日本海軍の駆逐艦「榊」がUボートに撃沈され、その乗組員59名の墓がある。明治維新からまだ50年も経ってない時に、よくこんな処までやって来たもんだ!以前マルタ島を旅した時、日本人として誇らしい気分になった。尤も安倍首相は昨年、イタリアのサミットの後でその墓参りを済ませている。だったら今回はいいかも?

Monday, 12 November 2018

大平洋VISAゴルフ

昨日の太平洋VISAマスターズゴルフの最終日、初日からトップを走っていた秋吉選手が、最終18番でまさかのOBを出した。見ると10cm程度だったか、白杭からはみ出ていた。方や額賀選手は早々とバーディーを決めて、逆転優勝をした。色々苦労した選手だったと聞き、たまには女神もほほ笑む時があるもんだと思った。秋吉選手はパーでもプレーオフのチャンスがあったのに、あえて攻めた結果が裏目に出た。勝負は最後まで分からないものだ。

でも改めて男子プロって凄い!そんな思いで見ていた。300yのパー4は誰もが直接狙って行く。松山選手などアイアンで打っていた。230yのショートコースも、自分なら届かない距離だから刻むしかない。それを意とも簡単に乗せていく。そもそも今更だが、4日間続けて18ホールを廻るって、並大抵の体力ではない。先日2日続けてプレーした事があったが、2日目の途中から疲労が出て集中出来なくなった。またプロのスウィングは大きく滑らかだ。池田勇太選手など溜めが上手いし、振り急ぎも無い。また今絶好調の今平選手はクラブを短めに握っていた。そうか!そうすると曲がらないかも知れない・・・、色々教えられる事が多かった。

それにしても、ゴルフを職業にするなんて、とても理解出来ない。今回優勝した額賀選手はプロ生活12年で初めての栄冠らしい。その間、毎週トーナメントに出ては負け続けて来た訳からも、毎日どんな気持ちで暮らしてきたのだろう?取り分け奥さんの忍耐って想像を超える。何かの時に聞いてみたい。

Friday, 9 November 2018

鬼門の14番ホール

何度やっても、一向に上達しないゴルフ、わざわざ高いお金と時間を掛ける割には、終わってみれば無力感だけが残る変なスポーツである。それでも又時間が経つと懲りずにチャレンジしてみたくなる。何回かに一度打ったグッドショットの味が忘れられないからだろう。そう思うと、何かギャンブルに似ている気がする。

そんなゴルフであるが、毎週のように通う倶楽部のNO14は鬼門である。右にドックレックするパー4のコースだが、第2打のスペースが狭く、左には池がある。最近では大事を取って3打狙いで刻むのだが、それでも風に流され右にOBしてしまう。おまけに先日はシャンクが出た。右に大きくすっぽ抜ける球を見て、世も末の気分になった。こうして、毎回同じ場所で同じミスを繰り返すと、流石自己嫌悪になってきた。夜もトラウマのようにNO14ホールが頭を過り、寝つきも悪くなった。

もうこうなって来るとイップス直前だ。友人の中には、パットのイップスになった人が何人かいる。それまでは何ともない動作が、パットになると硬直するという。楽しいはずのゴルフが、恐怖心が先に立つ。秋のゴルフシーズンだが、もう暫くゴルフなんてやりたくない、そんな気分になっている。


Thursday, 8 November 2018

Goldfingerのキャディー

007の映画「ゴールドフィンガー(Goldfinger:以下GF)」に、ジェームズ・ボンドがゴルフをするシーンがある。ボンドは、ゴルフ場で知り合ったGFと5000ドルを掛けてラウンドする。途中、GFの打ったボールがラフに入るが見付からない。実はボンドが足元に隠していたのだが、それを知らずに別の球で打ったGFは、最後に誤球だった事が判明して賭けに負ける、という話である。

そのいかさまを手伝ったのが、GFのキャディーであった。黒服のアジア人で、シルクハットが凶器の用心棒であった。演じたのは、日系の元プロレスラーのハロルド坂田であった。戦後アメリカで俳優として活躍したスターだった。そのキャディーに向かって、ボンドは「ゴルフは韓国ではまだ国技ではないね!」と云って去っていく。

勿論、坂田は日系人で韓国人ではない。1964年の映画だったから、そんな違いはどうでも良かったのだろうが、今や世界のゴルフ界、取り分け女子のトーナメントは韓国勢で独占される時代になった。昔はアメリカに住んでいる韓国人と云えば、果物屋しか思い浮かばなかった。その頃を思うと隔絶の感がある。

Tuesday, 6 November 2018

秋の禅寺丸柿

秋が深まり、また冬がやって来る。寒い冬を乗り切るのはいつも大変だ。それは動物も同じで、毎年この時期になるとやってくるネズミがいる。どこから入って来るか分からないが、夜になるとゴソゴソ音がする。翌朝、愛犬がクンクンと嗅ぎまわる頃には姿を消しているが、石鹸や餌箱が咬まれた跡が残っていて痕跡が後を絶たない。何時ぞや、家に来た人にお土産にと思って取って置いた御菓子箱に穴が開いていて、大いに恥をかいた経験がある。以来その復讐に燃えていたが、昨夜やっとネズミ捕りマットに掛かったのを発見した。朝になって犬が騒いでいたので見に行くと、マットにサンドイッチ状態で挟まっていた。一昨年の親子に比べるとかなり大きく、まだ生きているような目でこっちを見ていた。

それからイノシシもいる。先日、2頭のイノシシが救出される騒ぎがあったが、とんでもない話だと見ていた。イノシシはミミズを探して土を掘り起こすので、花壇や畑は滅茶滅茶になる。それも夜中にヒーヒーとうめき声を立てるので気味が悪い。来年はイノシシ年だから、猪突猛進のシンボルになっているらしいが、現実は迷惑意外の何物でもない。何時ぞや食べた南アルプスのイノシシ鍋は悪くなかったので、責てそんな料理店が出て来れば、少しは親近感も増すというものだ。

ただいい事もある。我が家の柿木は樹齢60年を超えているが、今まで一度も食べた事がなかった。元々あまり好きではなかった事に加え、何か気持ち悪いというか、先にカラスや野鳥が突っいて食べてしまう残飯のイメージがあった。ところが最近になって、近所の人が、「それって禅寺丸柿だよ!」と教えてくれた。何やら甘柿の一種で中国から由来したらしい。騙されたと思って木に登り捥いでみると、確かに甘くて美味しかった。

Friday, 2 November 2018

狂言切腹って?

アマゾンのプライム会員になって久しいが、動画がタダで見れる事を最近まで知らなかった。それが分かってから、多くの映画を見始めた。洋画もいいが、最近では日本映画、特に侍ものに凝っている。取り分け、「一命」と「壬生義士伝」の時代劇は良かった。

どちらも浪人の話だが、江戸末期に生活に窮乏する侍の一家が元になっている。「一命」では狂言切腹と云う言葉を知った。大名から切腹を盾にカネを脅し取る事らしいが、それを知った大名の方でも、竹光を渡すなど凄い時代だった。「壬生義士伝」は、やはり脱藩した浪人が新鮮組に入り生計を立てる話である。新田次郎原作だけあって、明治から回顧した構成は厚みがあったし、中井貴一の演技も良かった。方や彦根藩、方や盛岡藩が舞台になっており、どちらも武家社会が終わりに近いた頃、改めて維新は成るべくしてなった様子が伝わってくる。

盛岡藩を去った浪士が、最後は函館に向かうシーンがある。あの戊辰戦争の函館決戦だが、昔読んだ佐藤賢一著「ラ・ミッション(軍事顧問ブリュネ)」はそんな浪士に共感したフランス将校の話であった。トム・クルーズ主演の映画「ラストサムライ」のモデルで、その頃になると随分と外人も入っていたようだ。この秋の夜長は、当分日本映画を楽しめそうだ。