Thursday, 25 October 2018

長銀破綻20年

久々に日経新聞を見ていたら、セゾン銀行の安斎氏が、長銀破綻から20年を振り返る記事が目に留まった。その中で、当時日銀にサマーズ長官から、極秘資料を出すように言われた件があった。改めてあの事件の真相は何だったのか?オーバープレゼンスになった日本の銀行が、やはりウオール街の標的になった、そんな事を再認識した。破綻した長銀がアメリカのリップルウッドに売却されたのは、それを象徴していた。

ただ、今でも悔やまれるのはその後の破綻処理である。金融再生法を適用し、一時国有化された長銀だったが、東証の整理ポストで更生を目指す道もあった。その後の西武鉄道などが選択した方法だった。そうすれば株主は損を計上しないで済んだ。当時の長銀の時価総額は5兆円を超えていたから、その社会的な影響も大きく、その後に追随した日債銀なども考えると、大きな国民財産が保全された事になった。しかし結果は倒産扱いになり、上場は廃止され、株価はゼロで確定した。それを選択したのは、当時の自民党の石原伸晃氏であった。彼はまだ議員になって左程時間が経っていなかった頃だったが、金融再生委員会では中心的な存在だった。今から思えば若気の至りであった。それは、リーマンブラザーズへの公的資金注入を拒否したアメリカ政府と同じ間違いであった。ちょっとした政治家の選択で人の人生も大きく変わる、特に経済や金融を熟知していない政治家に任せる事程怖いものはない、その事を実感した。

その伸晃氏だが、最近フランス政府からレジオン・ドヌール勲章を受章したようだ。お目出たい話にケチを付ける気は毛頭ないが、あれから20年、未だにデフレから抜け出せない。あの時の判断をどう思っているのだろうか?

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