Tuesday, 16 October 2018

007のグルジア訛り

先日、テレビでグルジアの世界遺産を放映していた。2000mの高地に、外敵から身を守るために作られた9世紀の塔群であった。耳にした事のないスヴァン人という人種は、今でも自給自足の生活を続けていて興味深かった。

そのグルジアは、以前タリンで披かれた旅行博のブースに寄って以来、未知の魅惑に取り付かれている。旧ソ連で唯一のキリスト教国、世界最古のワインの国、黒海とカスピ海を繋ぐコーカサス山脈・・・、そして何よりあのスターリンの出身地である。マイナーな人種の彼がどうやってロシアのトップに登り詰めたのか?後に自身の過去を知る人を多く殺害したのは何故か?なぜ誕生日が2つあるのか?そんな謎めいた思いで飲むグリジアワインの味もまた格別だ。タリンでも一番安いワインはグルジア産だったので、雪に閉ざされた中で良く飲んだ。ドロドロとして甘く、日本の葡萄酒に似ていた。決して美味しい訳ではなかったが、想像力を掻き立てるには十分だった。

先日、カタール航空でドーハからプラハに飛んだ時、眼下にはトルコの砂漠の先にコーカサツ山脈が連なっていた。「スターリン、赤い皇帝と廷臣たち」という本に、「グルジアは、地理的にサント・ペテルスブルグよりバグダットの方が近く、風土はシベリアよりシチリアに近い」と書いてあった。そう言えば、007の映画「ゴールデンアイ(Goldeneye)」の主役の女性も、ジェームス・ボンドから「グルジア訛りがあるね!」と言われた。彼女はソ連の基地を襲うのだが、きっと犯人はグルジア人を想定したのだろう。実はコーカサツの山を越えると、気分は中近東なのかも知れない。そう考えると、込み入った歴史が分かり易くなる。

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