ザルツブルグから車で1時間程で、ヒットラーの山荘があったベルヒテスガーデン(Berchtesgaden)に行ける。標高1800mの山頂の建物は、「鷲の巣(Eagle's Nest)」と呼ばれ、多くの観光客のスポットになっている。麓に車を置き、専用のバスが上まで運んでくれる。圧巻なのはバス停から山頂に登るエレベーターである。昔使っていたものが今でも稼働しており、黄金の室内は当時の面影を残している。建物は米軍の空襲で無くなったため、現在の建物は戦後に再建されたものである。それにも拘わらず、山頂に立つと、誰もがヒットラーとその時代の気分になる。
一帯は1930年代に政権を取ったナチが買収した。博物館のビデオでは、強制的に立ち退かされた村民が、戦後当時の不満を語っていた。その開発は、ヒットラー用だけでなく、ボルマンやゲーリングなどナチ幹部の別荘や軍の施設など大掛りだった。山頂までの道路はその時に作られたものだった。日本で言えば、上高地一帯を買収し、穂高に迎賓館を建てた感覚である。
外交の舞台になった場所でも有名で、英国のチェンバレン、イタリアのムッソリーニ、日本の大島大使も記録によれば3度訪れていた。最後は1944年5月というから、ノルマンジー上陸やサンパン上陸が始まろうとしていた頃だ。戦局の不利を悟りながら、お互い何を話したのだろうか?そんな事を考えながら、眼下に広がるのドイツアルプスを見ていると、その壮大さと美しさに、いつの間にか圧倒されてしまった。場所はオーストリアとスイスの国境に、まるで盲腸の様に突き出たドイツ領である。実は20年以上前にも訪れたので、今回は2度目であった。
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