暑さに耐えて走り回る夏のテニス、たっぷりと汗をかき、暑さと戦った一日はとても充実したものがある。何より終わってから飲む冷えたビールは格別だ。頭がボーっとしているのは相手も同じである。お互い湛えるより、その暑さを乗り越えた親近感で、ビールは更に旨くなる。
そのテニスだが、見た目の華麗さとは裏腹に、少し陰湿なところがある。軽井沢の倶楽部は、土地柄、「貴方は何方にお住まい?お爺様は何をされていたの?・・・」、そんな昔から住む別荘族の声が聞こえて来るようだ。また東京の名門G倶楽部では、昔から1番コートはレジェンドしか使えない不文律があった。うっかり迷い込むようだと、注意に来る人がいたが、今ではどうなのだろうか?その他のコートも学閥社閥がある。それを知らずに、ぶらっとベンチで座っているようなものなら、「何年のご卒業なの?」とか「何部にいるの?」と聞かれる。暫くしてXXコートは医科歯科大OB,XXコートは松下電器と分かり、部外者は練習ボード近くの3面に追いやられる宿命が待っている。
やはり、20年以上前に入ったクラブがあった。そこそこ名が通った所だったが、初日にボードで板打ちをやっていると、おばさんがやって来た。そして彼女から「貴方な3番コートね!」と言われた。それは1番でも2番でもないが、4番でもない腕舞という意味だった。嫌なことを言うな?と思ったが、それは体育会の名残で、序列を重んじる世界だと直ぐに分かった。今では流石に薄らいでいるが、そんな時代だったのかも知れない。たかがテニス、去れどテニス、ボールを追い掛けるのも中々大変で、よくここまで諦めないで来たものだと我ながら感心する。
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