Thursday, 21 June 2018

マクロン氏の諭し

今週、フランスのマクロン大統領が15歳の少年から「やー、マニュ(Ça va Manu ?)」と呼ばれたのに対し、「ムッシュ・プレジダンかムッシュと呼びなさい!」と注意した事がニュースになった。聞きようによっては、敬意を払いなさいとも聞こえるので、早速ビデオで検証してみた。すると場所が戦没者の追悼式だったため、「ラ・マルセエーズのパルティザンの歌を歌う時なので、場所を弁えなさい!」と諭していた事が分かった。大統領は政治的な質問にも、「まずディプロマ(資格)を取るように」と応えた。その大統領の思わぬ言葉に驚いたのか、少年も神妙に聞き入って納得したようだ。

フランス人はアメリカ人に比べると、ムッシュやマダムなどを付け苗字で呼ぶのを好む。だからビジネスでも会って間もない人をファーストネームで呼ぶと、相手は黙ってしまう。その格式ばった人間関係は、長い宮廷文化から来たのかも知れない。昨今はフランスも日本のように風刺番組が多く、政治家はお笑いの種になるケースが多い。そんな中でも、こうした大統領の軽妙で単刀直入な会話に対し、襟を正すのもフランス人かと改めて思った。

ところで、その追悼式が行われたモン・ヴァレリアン要塞(forteresse du Mont-Valérien)だが、そんな場所があるとは知らなかった。パリ近郊で、ガリア時代から聖地の山とされ、普仏戦争の時には海兵隊が砦に立て籠もりパリ防衛の拠点にしたようだ。そして1940年からのドイツ占領下、4500人の人質やレジスタンスがここで処刑されたという。何かの時に行ってみようかと思う。

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