Saturday, 21 April 2018

マルクスのトリーア

今年はマルクス生誕200年という。それを記念して地元のトリーア(Trier)市では、マルクスをデザインしたユーロ紙幣を発売したり、マルクス像を設置するなど観光に力を入れているようだ。ただ像については、中国からの寄贈というので気味が悪い。社会主義発祥の地と言う事らしいが、急に現実に引き戻された気分になる。

そのトリーアはモーゼル川に沿った古い町である。ルクセンブルグやフランスの国境に近く、モーゼルワインの産地である。今まで2度ほど訪れたが、この季節やはりこの辺りで採れる白アスパラガスと一緒に、冷やして飲む白ワインは本当に美味しい。トリーアと言うと、昔は古代ローマ時代のポルタ・ニグロと呼ばれる城門が有名だった。ミッシュランの2つ星でもあるが、行ってみると「これだけ!」とちょっとガッカリした記憶がある。それに対しマルクスの生家は中々感慨深かった。この家で生まれた男がロンドンに出て行って本を書き、それが下敷きになってソ連、中国が出来た訳だから。ただ当時はミッシュランガイドに星すら付いていなかった。そのため素通りする人が多かったが、それが昨今、中国人の聖地になっていると言うので、改めて時代の変遷を感じてしまう。

2度目に行った時、中々ホテルが見つからず、モーゼル川沿いの民家に泊めてもらったことがあった。トリーア郊外の小さな村で、「どこか泊まる処はありませんか?」と人に尋ねた。するとその人は「ちょっと待って」と言って知人に連絡を取り、ある家の2階を世話してくれた。そんな旅の思い出が蘇ってきた。

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