ブルックスブラザーズ(BB)好きのY君は、仲のいい同僚だった。会社に入った頃は良く飲みに行った。ところが40歳に差し掛かる頃だったか、彼の方が早く昇進し、私は昇進が遅れたことがあった。お互い遠くにいたのでその時は気にならなかったが、ある時Y君が私の赴任地に出張してきた。
久々に旧交を温めようと、自家用車でホテルまで迎えに行った。ところが車に乗り込むY君は、後ろの席に足を組んで座るではないか!「普通は隣の席に座るのじゃないの?」と言いたかったが、本人はどこ吹く風だった。何かの間違えでは?と思いながら、タクシーの運転手みたいな気分になった。その日は、予てより予約していた川沿いの庶民レストランに連れて行こうと思っていた。勿論ご馳走するつもりだった。ところがY君は、「折角なので星の付いた店に行きたいな!」と言い出した。仕方ないので、2つ星の高級レストランに切り替えた。その日はそれで終わったが、高い料金なので、割り勘と思って後日国際電話で請求をした。ところが彼は一向に電話に出て来ない。何度目だったか、やっと電話が繋がり渋々払ってもらったが、それでやっと分かった。つまり、彼は偉くなっていたのだった。
以来、Y君とは距離を置いていた。ところがそれから何年か経ったある日、Y君が私の職場を訪ねてきた。どうやら職を求めているようだった。昼時を狙って来たのは重々承知したが、とても食事に連れて出る気持ちにもなれず、コンビニのサンドイッチを会議室でもてなした。元々優秀な人だったが、誰かが「Yさんと一緒に仕事をしたい人が居ないのですよ!」とポツリと言ったのを耳にした。それなら見つからない訳だ。下には強く出るが、上には滅法弱いアロガント、そんな人が結構多かった時代でもあったが・・・。
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