そのヨセミテから、グランドキャニオンへ行った。グランドキャニオンでも野宿し、翌朝から下を流れるコロラド川まで下ることにした。天使の道と称する山道を30Kgのバックを背負って歩いた。夏だったので40℃近い照り返しの中、水が全くない砂漠を20Km近く歩くのはきつかった。夕方やっと谷底に着くと、誰しもそのままコロラド川に飛び込んで涼を取った。
湿度が低いので、水から上がると衣服は直ぐに乾いてきた。お腹も満たし、その日はその川辺で野宿することにした。周囲は同じようなハイカーで賑わっていた。そんな人達と雑談していると、大きな二人組のアメリカ人が、「夜は涼しいので明け方から登ろう!」と言い出した。どうやら私が懐中電灯を持っていることを知って、それを頼ってきたようだった。確かにあの暑さの中を登るのは大変だ、そう思って明け方の3時頃だった3人で出発した。ところが30kgの重さは予想以上で、一方大きなアメリカ人は水筒一つ、その差は歴然としていた。やがて陽が出て来ると、「ありがとう!」と言って置いて行かれてしまった。
それからは一人で歩いたが、途中まで登った頃だったか、遂に力尽きて歩けなくなってしまった。行き交う人に救助を求めると、暫くしてレンジャーがロバを連れて降りて来た。そしてそのロバに乗り何とか山頂に戻る事が出来た。その日は久々にホテルに泊まったが、鏡に映る自身の身体が、一日で骨と皮に変身したのには驚いた。完全な脱水状態だった。そんなグランドキャニオンだったが、もう一度歩いてみたくなった。
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