Thursday, 22 March 2018

高野山の宿坊

予てから一度は、と思っていた高野山の宿坊を体験してみた。深山霊国の聖地でどんな修行が待っているのだろう?極寒地の座禅、早朝の掃除、質素な食事・・・そう思って行くと、随分と現実は違っていた。

まず通された部屋はテレビ付きの温かな和室、日本庭園が目の前に広がっていた。4時から入浴、温泉ではないが綺麗な風呂である。居合わせた人と湯に浸かりながら、「これって随分イメージが違いますね!」と会話する。夕食は5時半から、食事は部屋に坊主が運んできた。勿論精進料理であるが、懐石風で酒も頼むと出て来た。庭園風景と相まって、優雅な気分になった。翌朝は6時から隣の本堂でお経を聞いた。こちらも椅子と暖房が用意され至り付くせりだ。最後は般若心経で締めるが、一緒に唱えている人が多いのにも驚いた。ともあれお寺というより日本旅館の感覚である。これでは俗世間を逃れて祀られた英霊も、段々居心地が悪くなっているのでは?と少し心配になった。

高野山は弘法大師こと空海が拓いた霊場である。だったらばと、今やっている映画「空海」も早速見に行った。空海が遣唐使として訪れた長安の都が、CGだが綺麗に紹介されていて面白かった。確かに楊貴妃と同じ時代の人だったのも発見だった。中国映画で原題は「悪魔の猫伝説(Legend of the Demon Cat)」だから、映画は日本風にアレンジしたのかも知れない。確かに主役は亡霊の猫で、空海は謎解き人の脇役だった。それにしても、帰国して高野山の地で修行した人のイメージとは程遠い。高野山といい、空海といい、どんどん今風になって行くから何が本当なのか分からなくなる。

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