暫く前に友人のIさんが、「宇和島に紫電改があるよ!」と教えてくれた。戦時マニアを知ってか、そうは言っても随分と遠い処なので半分諦めていた。以来その事がずっと気になっていたので、今回松山に寄った際に思いきって足を延ばしてみた。
場所は松山から宇和島に向かって車で2時間、宇和島からは更に30㎞の愛南町であった。閉館ギリギリに入ると、確かにあの紫電改が置いてあった。聞くとたまたま海底調査をしていたダイバーが発見したという。引き揚げるとプロペラこそ着水時に曲がっていたが、ほぼ原形を留めていた。パイロットは誰だか分からないが、終戦末期に豊後水道上空で交戦をした後、戻って来た6機の内の1機だったという。被弾はないので燃料切れだったのか、機体は殆ど傷がなかった。館内では搭乗員服姿の人が立っていて、雰囲気を盛り上げていた。
紫電改は、子供の頃に読んだちばてつやのマンガ「紫電改のタカ」で知った。今読んでも良く出来た作品だったと思う。その後、映画「太平洋の翼」で取り上げられた。主人王は漫画と同じ滝一飛曹、松山に集結した343飛行隊の物語である。源田実を演じる三船敏郎や、滝演じる加山雄三など、役者が重鎮の作品だ。台湾の新高山があの「ニイタカヤマノボレ!」だったり、「散る桜、残る桜も散る桜」の件も、その映画から覚えた。やっと巡り会えた実物に浸り、その夜は愛南の銘酒「誠心」とかつおの刺身で、ひとり長年の想いに耽ったのであった。
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