ひょんな事から、岡留恒健さんの「永い旅立ちへの日々」を読んだ。岡留さんはインターハイ三冠、大学王者、デ杯のテニス選手だった。日航に入り地上職からパイロットになり、スキー、登山を極めた。本は、数年前に晩年を送る山梨の山奥での姿を紹介したものであった。
実は岡留さんとは一度会ったことがある。大学のテニス部の納会だったか、当時は既にパイロットになっておられ、高校生からみた姿は雲の上の人だった。しかしこうして自然を相手にした生活の姿を知ると、少し普通の人の親近感を感じた。その岡留さんはデ杯時代を最後にラケットを握らなかったようだ。奥さんも彼がテニスをやっていたという実感はないと聞いて意外だった。しかしそれは、暫く前に日経の私の履歴書で開陳していた松岡功さんと似ていた。氏はあの松岡修三さんのお父さんだが、やはりデ杯を最後にラケットを捨て東宝の事業に邁進した。
一方わが身を振り返れば、テニスを始めて50年、年数こそ長いがダラダラと然したる栄光もなく続いている。馬齢を重ねるとはこういう時に使う言葉かと思った。最初に入った高校のクラブでは20数名いた同期が、3年を過ぎる頃には5名になった。そんな折に団体でインターハイに行く幸運が舞い込んだ。しかし4人は行けたが自身は後輩に抜かれて行けなかった。一重に力量不足だった。最近では一昨日始めた人にも簡単に負けてしまうから、つくづく運動神経がないと自覚している。ただ「俺もこんな本を書いてみたかったな!」と正直羨ましくなる。どこまでも格好のいい人には叶わない。
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