「大本営が震えた日」は真珠湾を前に、戦艦武蔵の図面が消失した話である。舞台は長崎造船所、良く吉村氏が犯人を探し当てたと感心した。その動機は単純なもので、「陸奥爆沈」の男と同じ出世根であった。ムシャクシャして図面を燃やしてしまったことが、真珠湾を前に凍り付いた事件になった。
「空白の戦記」では、日本海海戦を終えた戦艦三笠が、湾内で爆沈した裏話を紹介していた。こちらは火薬庫と酒を飲んだ際に引火した話だが、どれも共通するのは99%は管理しても、所詮はヒトのやることである。最後の1%は妬み嫉みの感情の世界になる。”事実は小説より奇なり”、吉村さんの凄いのは、その1%の世界を刑事のような執念で発掘している。
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