Wednesday, 13 September 2017

長崎の原爆

暫く前に、「母と暮らせば」という映画があった。母親役の吉永小百合と息子役の二宮和也が共演した。場所は長崎で、原爆で命を失った息子を想いながら生きる母親の物語であった。一見不憫な設定ではあったが、亡霊を亡霊と感じさせない日常が爽やかだった。本来のテーマは「息子と暮らせば」だろう。敢えてそう呼ばなかったのは、老いた母を残して先だった息子の無念の方が強かったのでは・・・と感じた。

今週はその舞台の長崎を訪れた。映画の事もあって、今回はどうしても原爆資料館を訪れてみたかった。二宮演じる医学生は長崎医大の学生だったが、大学は爆心地直下だった事が分かった。今でも浦上に向かって山を登る市電が走っている。長崎大の正門には三菱重工の魚雷工場跡を記すプレートも貼ってあった。原爆資料館に入ると小学生でごったがえしていた。子供達と一緒に模型の前で解説を聞くと、今更だが放射能は遮蔽物があっても避けられず、特に空から降ってくるγ線は槍のようであった。また立ち登るキノコ雲は、一度拡散した熱が戻って舞い上がった現象で、既に被曝が終わった後の風景だったことを知った。

時あたかも北朝鮮が核実験した矢先である。その規模は長崎の10倍という。ここで町が消滅したのに、10倍は想像出来ない恐ろしい規模に思えた。勇ましい言葉が飛び交っているが、百聞は一見に如かず、この現実の前にはとても空しく思えた。

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