「一番好きな映画は何ですか?」と聞かれると困ってしまう。戦争物だと場が白けるし、昔のロマンスだと知らない人も多い。そういう時、「・・・サウンド・オブ・ミュージック(Sound Of Music)です・・」と応える。それは誰もが納得して「そうですか」と言うからだ。
サウンド・オブ・ミュージックの主役のトランプ大佐は厳格な軍人で、時代の緊張感にはピッタリの人だった。役者はクリストファー・プラマー(Christopher Plummer)と言ってカナダ人だった。実は最近見た「Remember(日本版:手紙は覚えている)」の主役は、同じ人だったと知って驚いた。Rememberの映画は、元アウシュビッツのナチ党員の映画である。ユダヤ人に化けてアメリカ社会に溶け込んだドイツ人が、晩年を送る介護施設の中で、同じ収容所に居たユダヤ人に気が付かれる。そして自身の本性を暴露されるというストーリーであるが、物語の仕掛けは、「アドリア海の復讐」と同じで、周到で時間を掛けた構成になっているから面白い。
元ナチ党員は痴呆になっていたが、最後にナチの同僚に出会って自分に気が付く。演じているプラマーも誰かに教えてもらわなければ、トランプ大佐とは気が付かなかった。歳を取ると容姿は変わり別人になることもある。しかし、自身の忘れた過去は誰かが覚えている、という教訓の映画であった。
No comments:
Post a Comment