コバリドを経つと、旅は消化モードになってしまった。折角なので、スロヴェニアの景勝地ブレッド湖(Bled)に寄ってみることにした。一帯のトリグラウ国立公園は、イタリアのドロミテやオーストリアのザルツカンマーグードなどと比べると小振りな感じがした。それでも2500mの山越えルートは結構厳しく、40か所以上のカーブを経てやっと峠に辿り着いた。そのダイナミックな眺望はやはりヨーロッパだった。
ブレッド湖も写真で見た通りの古城とエメラルドの水がマッチする美しい処だった。ただ観光客が多いので嫌になってしまったので、そそくさと町を出た。するとゴルフの看板が目に入った。行くとBled Golf Clubという良く整理されたグリーンが拡がっていた。運動不足にはちょうどいいと思い、早速受付に「旅行者ですが廻れます?」と聞いてみた。すると「いつでもスタート出来ますよ!」と言われたので、ハーフを廻ることにした。全部で80ユーロ(約1万円)は少し高かったが、クラブセットとカートを借りた。夏の観光地だというのに、前後誰も廻っている人はいない。コースも荒れてあまりいいゴルフ場とは思えなかったが、聞くと国内で最高のクラブだという。調べてみると、スロヴェニアには全部で16コースあった。これはルーマニア(9)、ブルガリア(9)、クロアチア(6)、セルビア(2)と比べると圧倒的に多い。ゴルフは経済水準のバロメーターと言われるが、正しくそれを証明していた。
スロヴェニアは人口2百万人の小さな国である。ただ一人当たりGDPは2万ドルを超え、隣国クロアチアの2倍、モンテネグロの3倍以上と豊かである。EU加盟もバルカン諸国の中でも一番早かった。勿論通貨はユーロである。他の旧ユーゴ諸国と比べて秀でたのは、オーストリアやイタリアの西側と国境を接する地理的な事情から来たものだと分かった。(戦争博物館の解説では)ユーゴ紛争の時にアメリカから多大な支援を受け、それが独立の後押しになったという。ガソリンスタンドで民謡の入ったCDを買った。車中で聴くと、ルーマニアなどのアラブっぽさは全くないチロルのメロディーに似ていた。
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