Monday, 7 August 2017

コバリドの塹壕跡


旅の11日目、今回の旅の目的地、スロべニアのコバリド(Kobarid)を訪れた。コバリドはスロヴェニアとイタリアの国境に位置する小さな村である。周囲は山に囲まれ長閑な処であるが、第一次大戦で5万人以上の死傷者を出した激戦地だった。あのヘミングウェーの小説「武器よさらば」の舞台であり、カポレットの戦い(Battle of Caporetto)として有名である。


着いてから早速博物館を訪れ、写真や解説ビデオで知識を仕入れた。それから案内所に行くと、係りの人が「山の途中にイタリア軍の塹壕が残っています、1時間半程の行程ですよ!」と教えてくれた。早速登ってみると、なだらかな道とはいえ夏なのでかなりきつい。暫くすると道の両脇が人工的に固められた箇所が出て来た。屋根をすれば確かにそこが塹壕であった。当時は30㎏の荷物を背負い、真冬に何日もここで過ごしたことを思い浮かべた。



翌日、再度博物館に行ってもう一度ビデオを見せてもらった。英語ということもあり、一度では中々分かり難かったが、2度見るとよく理解出来た。最初は中立だったイタリアが突如国境を越え侵攻、それを旧ハプスブルグ家のオーストリア・ハンガリー連合にドイツが加わり反撃した。その結果、ドイツ連合が山岳地帯で使った毒ガスの威力で、イタリア軍を撃退する結末であった。



「武器よさらば」の主人公フレドリックは、イタリア軍に属したアメリカ人で、恋した看護婦を追いかけて脱走する。イタリア軍は当時からこうした兵士が多かったようだ。フレドリックは知り合いが手配したボートで湖を渡りスイスに逃げる。ただコバリドからスイスまでかなり距離がある。今回そのルートも辿りたかったが、それは分からなかったので、この秋の夜長に取って置くことにした。

コバリドの山を一人歩いていると、100年前の兵士の息遣いが聞こえてくるようだった。それはノルマンジーとかワーテルローと同じで本当にそうだった。コバリドは昔イタリア領であった。泊まった宿はピザの専門店で沢山の客で混んでいた。とても美味かったのは、主人がイタリア人の末裔なのか?そんな事を考えた。

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