雑踏から逃れ、それからは名もない小さな村を探して泊まることにした。昼は海岸線を走り、3時頃には海辺に近い宿を探して海に飛び込む。アドリア海の水はエメラルド色をしていて透明度が高い。日本から持って行った水中メガネで覗くと、深さ10m位はよく見えた。魚も沢山泳いでいた。ただ暫く浸っていると段々体の芯が冷えてくるので長居は禁物だ。涼を取れたところで、クロアチアの地ビール”Karlovačko”を飲む。ちょっとスーパードライに比べれば薄味だが、乾燥した気候に合っていた。名もないレストランでサバのムニエルを頼んだことがあった。とても新鮮でホウレンソウとの相性が抜群だった。思い切って頼んだボツニア・ヘルツゴビナの赤ワイン(それでも1本2000円程度)も良かった。日本でもチリや南アなどの新興国ワインが安価で人気があるが、これからはバルカンワインの予感がした。独立から20年ほど経って農地が整備され、新たなワイン技術を導入している姿が伝わってきた。昔はモルドバやモンテネグロの旧ワインは日本の葡萄ジュースのようだったが、確実に品質が向上している。
クロアチアの海岸線は、切り立ったディナル・アルプスがそのまま海に突き刺さっている。その景色は今まで見た事もないダイナミズムがあり素晴らしかった。海岸線はカーブが多いので運転に気が抜けないが、奥まった湾から突然村落が目に入ってくる。それも赤い屋根で海の青さとのコントラストが美しい。岩山は北に向かうにつれ低くなるが、イタリア国境に近づくとまた険しくなった。北の方では経済が豊かなので高速道路が走っていたが、トンネルばかりでやはり旅は海岸線を走る南の方が楽しい。
今回「モンテネグロに行きます」と言うと、「ああ007のカジノ・ロワイヤルの場所ね!」と答える人が多かった。確かに映画の字幕にはそう書いてあった。ところが、実は撮影はチェコだったようだ。Xミッション(原題:Point Break)の冒険映画では、ウィングスーツ・フライングの舞台にスイスを使った。ただどちらもクロアチアを選んだ方がもっと迫力の映像が撮れたのに・・・。
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