Tuesday, 29 August 2017

占守島の真実

新しく出たPHP新書「1945占守島の真実」を読んでみた。ポツダム宣言を受諾してから、ソ連が千島列島に攻めて来たので、それを迎撃した実話だ。帰国できると喜んでいた兵士の多くは殉死し、残った人はシベリアに抑留された。その過酷な運命は、正に体験した人でなければ分からない世界で、こうして本になって始めて伝わってくる。

シベリアの強制労働はスターリンの意向だったという。彼の独裁と粛清は有名な話だが、バルカンを旅していると、その残虐性の原点は正教の宗教と関係しているように思えてくる。つまりキリスト教は神を司る法王と実務の皇帝が分かれていたが、正教では両者が一体だった。そのため、権力を握るとオールマイティになり、人をして歯止めが効かなくなったと言う説である。何となく分かる気もするが、そのソ連も昔から正教だった訳ではないから複雑だ。それは、ビザンチンがオスマン帝国に敗れた辺りから、東ローマ帝国の威光をロシアが受け継いだからだ。

そう思うと、占守島で戦死した人、捕虜となってシベリアの寒さで亡くなった人、それは歴史のイフではないが、ビザンチンがオスマン帝国に滅ぼされなければ、その運命に出会わなかったかも知れない・・・ということになる。余りの飛躍だが、未だ旅の熱が冷めないのかもしれない。

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